2008年12月29日月曜日

年末


年末の事務所は電話の音、キーボードの音に混じって
印刷機の音がひひときわ高く響きます。

毎年この時期、忙しく動いているのは年賀状の宛名印刷。

30年前、名前も知れていなかったリミットが
いかにお客様の目にとめてもらえるか、
いかに記憶に残してもらえるか、
そして何よりも、お得意先の繁栄と末永いお取引を・・・
そんな、リミットの思いを年賀状に託しました。

社長(現会長)は、元日の朝、出雲大社に初詣
巫女の舞う神殿に、宛名だけが印刷された年賀状をお供えしお払いを受けたのです。

皆様の繁栄と健康を願って引いたおみくじは、その年の初仕事になりました。

やがて、皆様のお手元に届く年賀状、
来年は世代が変わり新社長から、初めてのメッセージが届きます。

積もった雪道を、ハンドルを必死に握り締め
明日の繁栄を願って通った山陰への雪道は、朝日が輝いていた事でしょう。

「今年も無事出雲大社への初詣がかないました。」

会長の思いは、次世代へと受け継がれていくのです。



●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
ある雑誌に、こんな言葉が載っていました。
お正月のしめ飾りや鏡餅のお飾りに欠かせない「橙」 。夏の初めに白い花が咲き秋には緑色の実を結び、冬になると橙色に熟します。
この実を採らずにそのままにしておくと木から落ちることなく、二~三年は枝についています。そればかりでなく、橙色だった実は翌年また緑色に戻るのです。
そして今年の新しい実、二年前の実、三年前の実 世代の違う実が一本の木に同時に熟す事から、「代々」と呼ばれたのだそうです。






2008年12月22日月曜日

20年前



 それは、20年前のことでした。

新幹線の中、隣に乗り合わせた男性は英語で書かれた新聞を読まれていました。

世間話をしながら話してくださった言葉は、とても衝撃的でした。

「後20年もしたら世界の自動車メーカーは、3社か4社になるだろう。」

なぜそうなるのか、その時に聞いた言葉は今思い出せません。

でも、何年も前から世界の車の需要が減る事は、皆が予測されていた事でした。



作り出してしまった大量のものたちは、何処に行くのでしょう。



私たちは、物を作り出すのが仕事です。

一人でも多くの人達に、買って貰いたいと思います。

少量より大量に生産する事でコストを抑え、人件費の安い地域で生産して

価格を下げてきました。

町に大量のものが溢れ、人々はとても豊かに見えました。

物の豊かさは、心の豊かさと思っていました。



私たちは、物を生み出すのが仕事です。

これから、私たちが見つめるべき豊かさは何なのでしょう。

何を、生み出していけばよいのでしょう。

その答え探しの旅に、皆で出掛けませんか。






2008年12月15日月曜日

鉢巻をした白菜君


 遅植えの白菜は
 なかなか巻いてくれません。

 霜が降り、寒さがやってくる前に
 口をふさいでやりました。

 いやいやする葉っぱ達
 一枚一枚寄せ集め、ひもを丸めて
 くくります。

 それでも、力を振り絞り、先のほうだけ
 イチジクさん。

 鉢巻を二つも巻いた白菜君。
 夕日に照らされた白菜君。

 葉っぱの中での密談は
 明日の政治の事でしょうか。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
親孝行な貴方は、誰もが持っていない暖かい石を持っているのですね。誰にでも、自慢できる宝です。



2008年12月8日月曜日

窓の景色


 窓の景色は変わります。
秋から冬へ変わります。

それは皆、知っている事でした。
分かっているはずでした。
忘れていた訳ではないのです。

それでも、あわてて繕い物をはじめます。
薪を集めに走ります。

集めた薪を燃やしながら、やがて来る春を待つのです。
いつもと変わらない春がやってくるまで、頑張ろう・・・・。

窓の景色は変わります。
秋から、冬へではないのです。

私たちが作ったものから、私たちが作るものへ
窓の景色は変わります。



●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
親孝行な貴方は、誰もが持っていない光り輝く石を持っているのですね。うつむいた顔を上げ、太陽に自慢してください。



2008年12月1日月曜日

山口県


 「私はね、山口県 萩の生まれでございます。」

そろえた指先は、テーブルにおいたティッシュを一筋一筋丁寧に伸ばしていきます。

「何でも、大切にしなさい。お母様から教わりました。」
「私はね、山口県 萩の生まれでございます。どうぞ、宜しくお願いいたします。」

同じ事の繰り返しの中に、会話にならない会話が続きます。

ここは、認知症の方の病院です。
知人を訪ねた私たちに、お話をされるお年寄りの記憶は何年前の今なのでしょうか。

「母はね、こう申しました。どんな時にも感謝の心を忘れてはけません。
その言いつけを守ってまいりました。」

仏様のような笑顔でお話されるご婦人の目から、涙が零れ落ちました。



「どうしてこんな事になってしまったかねー」 と知人、

「有難うございます。有難うございます。」 萩の人


会話にならないお二人は、遠い記憶の中におられるのでしょうか。
過去の日が、今日の日に重なっているのでしょうか。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
親孝行な貴方は、誰もが持っていない光り輝く石を持っているのですね。暖かくつつむ石なのですね。





2008年11月24日月曜日

私はメルモ


「コンセプトはえびちゃん、もえちゃんです。
特徴はくるくる巻き髪、フェミニンな女の子、どうでしょう」
提案してくださったのは、制作会社のデザイナーさん。

「いいね、それ、きっとかわいいよ」
年寄りの私を差し置いて、皆で盛り上がっているのは今年のカタログ。

「エッ、それって大丈夫。工場で着てもらいたい制服もあるよ。」


私はメルモ、 ワタシハめるも、わたしはメルモ・・・・。

やさしい歌声の中、撮影は赤いレンガのロケハウスです。

「自然に、自然に、力をぬいて、
ほらほら、モデルポーズになってるよ。
いいね、いいね、かわいいよ。」

カメラマンさんの明るい声が響きます。

「うーん、ちょっと違うなー」
スタイリストさんも、カメラマンさんも、納得がいくまでカメラが回ります。

モデルハウスは、向きを変えると事務所になったり、リビングになったり、
テラスになったり、まるで「不思議な国のアリス」のようです。

「大変だ、大変だ、時代に乗り遅れる 」 
撮れた写真を見ながら 私はうさぎになりました。

●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
昼間の太陽は強いです。湧き出てくるエネルギーは、うなるような沸きあがるような雄たけびです。宇宙を抱え込んだ雄たけびです。どこまでもつらぬく雄たけびです。



2008年11月17日月曜日

野菜畑


 野菜畑に、行きました。

初めて植えた白菜君、緑の葉っぱをきゅっと横に広げています。

小さなクモは葉っぱの裏に雲隠れ。
こらこら、小さな穴を開けたのは誰ですか。
黒い小さな名前も知らない虫さんは、指の中でつぶれそうです。

いつの間にか小さな草が、恥ずかしそうに顔を出しています。
恥ずかしがり屋さん、ごめんなさい。
草をとり、土を根っこに寄せました。

穴あき葉っぱも取り除き
なんだか立派な白菜君。
なんだかおしゃれな白菜君。

今夜は雨の空模様。
明日の朝、銀色の洋服を着た白菜君は
「えへん」 咳払いしているでしょうか。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
朝日に向かって手を合わせました。見上げると紫色から橙色に、七色のオーラが外へ外へ広がっていきます。強い、暖かい光です。





2008年11月10日月曜日

私たちは、


私たちは、働くのが大好きです。
私たちは、汗を流すのが大好きです。
お日様と共に働いた後、お月様が体を癒してくれます。
土があり、山があり、そこには、生かされている事の感謝があります。

ネット社会は、私たちに大変便利な時代を与えてくれました。
目に見えないものが、有るかのごとく感じさせる事も出来ます。
実質ないものが、あるかのごとく感じる事が出来ます。
でも逆にあると思っていた物が、瞬時に消えてしまう恐ろしさを含んでいます。

2000年3月会長は、ネットワークに 「衣料業界に全面整理の時が来た。」と題して
その年売り上げ半滅になっても生き残れる道を断行しました。
「問屋が整理された時代を経てやがて過当競争の時代に入り、今後販売店の倒産が
多発しメーカーが苦しむ時代がやってくる」。
会長が予測したとおり、やがてそれは価格破壊へとつながりました。
でも、そこには商品がありました。働く人達が見えていました。

2007年、金融バブルといわれてわずか一年、私たちは目に見えないものに踊らされて
いたのでしょうか。
昨日まで業績のよかった企業が、突然倒産する例もありました。
ネット社会は私たちが目に見えないもので、経済も人も動いてしまう恐ろしさを含んでいます。
そしてまたこのネットによって今や世界はひとつにつながりました。

私たちは、働くのが大好きです。
私たちは、汗を流すのが大好きです。

働く人達が幸せな社会へと、今時代は変わろうとしていて欲しいと思うのです。





●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
朝日に向かって手を合わせました。幾重にも幾重にも、鈍い光は黒い点から吐き出すように、ズズーンと体中を突き抜けます。強い、暖かい光です。



2008年11月3日月曜日

午前2時


午前2時、遠くで貨物の音が聞こえました。

山の斜面に順序良く並んでいるテレビ塔は、高さを伝える
赤いランプが点滅しています。
市内へと続く坂道、整然と青いランプが続きます。


鉄橋を、あわい光がゆっくり流れていきます。


ビルの明かりが四角い箱をかたちづくります。
光のスポットが、鋭い光を投げかけては消えていきます。
赤、橙、緑、時々に変わるのは信号機でしょうか。


カーテンを開けて見下ろした市内は、光のおわんです。


午前2時、街はいつから寝なくなったのでしょう。
午前2時、街はいつから眠れなくなったのでしょう。


光のおわんはやがて朝日につつまれ、寝不足はいつまで続くのでしょうか。
知らない間に土地も、寝不足色になっているのでしょうか。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
朝日に向かって手を合わせました。ズズーンと太陽の光が、おなかに勢いよく飛び込んできました。強い、暖かい光です。







2008年10月27日月曜日

未来日記


未来日記を、書き始めました。

朝、目が覚めたらとても気持ちのいい朝でした。
体も快調、肩こりも足の冷えもありません。
「今日、一日頑張るぞ、」気持ちよく飛び起きました。
主人も、笑顔で体調もよさそうです。

今日は会議、
すべてが順調です。
皆から、いいアイデアが次々出てきます。
次に出す新企画のアイデアです。

午後からはカタログの打ち合わせ。
お客様に喜んでいただけるものを作りたい。
みんなの思いがひとつになりました。
また、、新しいカタログの幕開けです。

今日も一日回りの人達皆、素晴らしい幸せな一日でした。

お友達から素敵な本をいただきました。
自分が幸せになりたいと思ったら、まず幸せを実感する事、

自分が過去思ったとおりの人生を、私たちは今生きているという事。
何も疑わず、今幸せと実感する事
何も疑わず、今仕事は順調と実感する事、
何も疑わず、今お金はいっぱいあると実感する事、

何も疑わず、

自分の手の中に、私たちはあらゆる可能性を持っているのです。
それを信じて、ただ信じればよいのです。

信じたものが集まってくる世界です。
憂えれば、憂えたものが集まってくる世界です。




●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
大きな大きな石がありました。何千年、何万年生きているのでしょう。石にもたれてみました。広い広い大きな心です。深い深いどこまでも深い心です。すべてを受け入れすべてをときはなしてくれる、大きな大きな石でした。





2008年10月20日月曜日

錦のお札


 錦のお札をいただきました。
おしこく、100回目のお札です。
強い信念のお札です。
厳しさに耐えたお札です。
ずっしり重いお札です。

暖かさが、やさしさが伝わってきます。

30回目の春、一緒に高野山に行きました。
納経帳は真っ赤です。
順番待ちの人達の、驚きの声が聞こえます。
いつもと変わらない表情の会長のそばで、私は鼻高でした。

あれから70回、100回目のお札です。

回数が目標のおしこくは、一寺、ひとてら、一歩いっぽになりました。
人が人がの思いは、やがて感謝の思いにかわります。
「こんにちは」、行きかう人の声が優しくおいかけてきます。

朝五時、
「松山から、宇和島、高知まで730km、これからまた出かけるよ。」
明るい声が、電話の向こうで響きます。

同行二人、
どんなに辛いときも、一人ではないのです。
弘法大師と、いつも一緒です。

そして、ご先祖様に守られている私たちです。



●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
大きな大きな石がありました。何千年、何万年生きているのでしょう。石はやさしく包んでくれます。何処までも深く深く、やさしく包んでくれます。古代へとつながる石なのです。



2008年10月13日月曜日

うろこ雲


 空はどこまでも青く、青く続いています。
緑の山が台地を見下ろしています。
小さく刻まれたうろこ雲が青空の下、果てしなく広がります。

今日は日曜日。
主人の念願の畑つくりに挑戦です。
お師匠様はこの道?十年の、実家の父です。
耕運機を初めて使う主人は、腕白時代の少年のようです。

掘り起こされた土の中から出てきたのは、大きなミミズたち。
白い大きな幼虫や、名前も知らない黒い塊のようなさなぎさん。
あれあれ、飛び出してきたのは冬眠中の土色をした蛙さんです。
土の中は、知らない家族でいっぱいです。

黙々と鍬を下ろす父は、疲れを知りません。
「お父さん、ぼつぼつ、してーよ。くたびれるで」
耳の遠い父は、ただニコニコ。

幼い頃、学校の帰り道、黙々と畑を耕す人がいました。
何もいわず、ただ黙々と腰をかがめて働いている景色です。
母は、何を考え何を思っていたのでしょう。

青い空、うろこ雲、緑の台地。
耕す畑に下ろした鍬、草を採り石を拾い、また鍬を持ち上げます。
ただ無心に手を動かします。
体を動かします。

ふと見上げると、どこまでも続く青い空、うろこ雲、

「お父さん、ぼつぼつ、してーよ。くたびれるで」

さわやかな秋風が運んできたのは、思いやりの心でした。





●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
大きな大きな石がありました。何千年、何万年生きているのでしょう。そーと耳をあててみました。川の流れが聞こえます。さらさらと流れる音は、ふかい深いずーと深い谷間です。シーンと静まり返った谷間です。





2008年10月6日月曜日

それから (冷たいリミット)


 小さな列車は走ります。
ただ、ひたすら走ります。
小さな振動を大きな振動にかえて走ります。

次々に変わっていく景色に、窓の枠をかえながら走ります。

回りの声も聞こえません。
過ぎ去って行く人達が手を振っています。
隣を走る列車が呼びかけます。

それでも、ひたすら走ります。
冷たい鉄の塊です。
やさしさのない塊です。

走り続ける列車は誰を乗せているのでしょう。

よくよく、見てください。
冷たい鉄の中は、春の息吹が漂っています。
やさしさのない塊は、鎧です。
お客様を、まもる鎧です。

だってほら、皆が乗っているリミット号。
誰でも乗れるリミット号です。

行き先は、季節です。めぐり来る季節です。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
大きな大きな石がありました。何千年、何万年生きているのでしょう。そーと耳をあててみました。海の音が聞こえます。風のささやきが聞こえます。深いふかーいずーと深い、シーンと静まり返ったおとでした。



2008年9月29日月曜日

おいしかドロップ


今朝の瑠迹汲ヘ、ないていました。
少女の「おいしかドロップ」の声に・・。

日経新聞に毎日連載されていた「望郷の道」が終わりました。

リミットも、
来る日もくる日も一枚も売れない時がありました。
売れば売るほど損をした時もありました。
明日は銀行に行こうと決断した日、それでも買ってくださるお客様があるなら、
つぶれるその日まで喜んで売らしていただこうと思いました。
次の日、運命は変わりました

そして、ユーザーの方に欲しいと言われる物を作れば黙っていても買っていただけると
思いました。
お客様の目線で物つくりに必死になりました。


正太は駆け出しました。
「俺は倉庫からドロップを運んでくるけん。」

そこに商品を運んでくださる方がいました。

心を伝えてくださる方がいました。

商機を捉え、明日を読み、お客様に伝えてくださる方がいました。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
あわてて駆け出した朝、もう一枚重ね着したくなったのは秋が深まっている証拠、いただいた栗の実は、今日のお昼のお弁当になりました。もうすぐみんな、10月です。







2008年9月22日月曜日

小さな脇役、釦君


 小さな僕は、いつも脇役です。

僕たちは、必要な時に、必要な数だけ、ネームさんやラベルさん達と一緒に

納品されるのです。

工場の中は順番待ちしている先輩たちが順序よく並んでいます。

いつ、順番が回ってきてもいいように、僕は身支度を整えました。

丸い目玉はピカピカに、口は針が折れないように清潔に歯磨きして待ちました。

でも、順番が来ないのです。


「変だね、おかしいね。」 ラベルさんもネームさんも、騒いでいます。

あんなに磨いた丸い目玉も、歯磨きした口も ほこりがたまってきているよ。」

「ねーねー。」 ネームさんが情報を聞いて皆に伝えます。

「なんか、黒生地さんに問題がおきたんだって!」

「あの黒生地さんは繊細だものねー。 ちょっとの事でよく泣いているよ。」

「だから、計画が変更になったんだってー。」

「えっ、それっていつの事。」

「もう、一ヶ月も前のことなの・・・。」




小さくったって、脇役だって、誇りがあるよ。

ほら、王様がいつも言っているじゃないか。


「物に命を入れるのは、物を大切にする心だよって。」


一週間後、行き先変更になった釦君。

おめかしして明日の出番を待っているのです。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
雨が降って風が吹いて、嵐がやってきました。横にお辞儀しているススキたち、ほこりを落とした木々たちはすがすがしい顔で得意げです。
今年もやってきた台風は、ゆっくり離れていきました。もうすぐ10月、新しい職場で再出発を迎える人達にも、秋はやがて過ぎていきます。



2008年9月15日月曜日

同じ道があるなら


 「同じ道があるなら苦しい方を選ぶ」
これは、社長(現会長)の言葉です。
道に迷った時、必ず社長はこの言葉を掲げました。

25年前のある日の事、社長が急に副社長に告げました。
「地元の問屋卸を、すべてやめる。」
衝撃的な言葉でした。

当時売上の半分以上を、地元の問屋さんに買っていただいていました。
10年、20年先を見つめた時、よりお客様に近い所で商売をしようと誰もが思うでしょう。
特に繊維業界は、その流通経路が複雑です。

女物は小さな分野です。
地元の皆さんに、喜んで売っていただいていました。
問屋販売をやめるという事は、売上も半分以下になるかも知れないという事です。
10年先、20年先の事は誰にもわかりません。
このまま問屋さんに、買っていただいていたほうが、ずーと楽なはずです。

でも、あえて、社長は苦しい道を選びました。
そして、一軒、一軒お断りして歩きました。
その任にあたったのは副社長です。

副社長が信じたのは、いつも自分に厳しい社長の姿勢です。
社長が信じたのは、苦しみの後にやがてやってくる明日でした。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
大きなまあるいお月様が、出ています。雲がゆっくり、流れていきます。どこかで虫の声がきこえます。毎年やってくる、今夜は十五夜です。(9月14日)



2008年9月8日月曜日

イメージ戦略


 大きな段ボール箱を小さな台車に載せて坂道を上っていく人がいます。
まだ、季節は春だというのにその額には汗が光っています。
登りきった坂道を、今度は反対方向に下っていきます。
たどり着いたそこは、大阪のとある郵便局でした。
初老の紳士は15年前の社長(現会長)です。
箱の中身は、はるかに千通は超える封書。
欲しかったのは大阪の郵便局の受付印でした。

現在はネット上でも見れるようになったネットワーク(リミット通信)。
販売店様にお会いする事がないから、考え方をお伝えする手段がないから
会長はリミットの方針、考えを綴った手紙を書きました。
やがてそれは、大阪経営企画室から発信されていきました。

月に一回、大阪の事務所で開かれた経営企画会議。
本社から荷物で届いたネットワークのダンボール箱を受け取る日と、会議の日以外は誰も居ない大阪の事務所です。
日本を動かしている西日本の中心からリミットの考えを発信、
そのイメージにこだわった会長です。
イメージにこだわるから、イメージを壊さない努力が始まりました。
本物を見つめる努力が生まれました。

時代は移り、全世界の何処にいても瞬時に情報が飛び交う時代になりました。
そしてますますイメージが大切な時代になりました。
本物だけが生き残れる時代になりました。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
聞こえるのは秋の虫の鳴き声です。田んぼの稲も少し黄色に色づき始めました。知らない間に秋はやってくるのです。誰に伝えることもなく。









2008年9月1日月曜日

にぎやかな我が家


いつもなら静かなわが家も、今日は夕方からとてもにぎやかです。

ちょうど始まった24時間テレビを見ながらお喋りしている人、主人と北京オリンピックについて討論している人、二人でほっぺを叩き合っている人、お料理をお皿に盛りながらお喋りしている人、皆笑顔がいっぱいです。

でも、主人の問いに答えている人は言葉が喋れません。
自分の思いをノートに書いて伝えます。

ほっぺを叩き合っているように見えたのは、手と指が忙しく動いているので、叩き合っているように見えたのです。
彼女は、耳が聞こえません。喋る事もできません。
表情いっぱいの笑顔で、難聴の彼とじゃれあう二人は手話で話をしているのです。

大勢のお友達を連れて帰ってきたのは、我が家で一番明るい長女です。
長女は、足が不自由です。

丁度その時24時間テレビでは、健康で明るかった若いお父さんが身障者となり、やがて自分の病気と闘いながら家族と強く生きていくというお話をしていました。

「普通の健康な人がだったらこのテレビを見て、きっとかわいそうにって思うよね。でも、僕らは当たり前だなって思うよね」
黒縁メガネの男の子は優しい笑顔で屈託なく答えます。

「私は、最後のマラソンはいつも泣いてしまうから見ないようにしているの。」
車椅子の女の子の澄んだひとみが、潤んでいます。

そして、左手に右手を十字にそえて笑顔で首を縦に振ります。 

 「有難う。」

いいえ、いいえ、お礼を言わないといけないのは私の方です。
すべて揃っているのに、いつも不満いっぱいの私の方です。

「ありがとう」 


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
空はいつの間にか秋色に変わります。山もいつの間にか秋色に変わります。毎年変わりなくやってくる景色です。





2008年8月25日月曜日

Mさんの道具箱


 ミシンの修理から、工場の備品つくりまで何でもこなすMさんは6?才
工場の女性軍の人気者です。
「はいはい、何ですか」 大きな声と明るい笑顔が今日も弾みます。

ミシンを修理して40年、銀色に光るMさんの道具箱を開けてみました。
蓋の部分は自分で縫った、お手製の道具入れ。
黒い皮の板にねじ回しが順序良く並んでいます。
こだわりのまわし棒は、握ると弾力があり手のひらにしっくりなじみます。

スキャナで削ったかなづちは大きな面と、小さな面を使い分け、小さなねじも落とさない
あっぱれスキャナは、苦心の作とか。

何もかもが手作り、自分の体の一部のような道具達。
磨かれた小物達はつんと威張ってみえます。

「昔はねぇ、誰も修理の方法を教えてくれない、先輩の仕事を見て盗むんじゃ」

今年の春、Mさんは副社長と中国の工場に行きました。
工場の壊れたミシンを一台、一台整備していきました。
中国の工場の若い整備士さんも一緒です。

「あんたが、やってみ」
「一回やってもだめだったら、もう一回違う方法でやってみ」
「何回でも、何十回でも違う方法を試してみるんじゃ」
「直ったと思っても、もう一度ミシンを踏んでおられる人に縫ってみてもらうんじゃ」
「待て、すぐその場から逃げてはだめじゃ、時間がたてばまた問題を起こすかもしれん」
「そうじゃ、それで初めて修理は完了じゃ」

眉間にしわを寄せ、大きな声で話すMさんに
若い整備士さんは

「お願いです。眉間にシワをよせないで・・・。」





●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
腰に手を当て背筋を伸ばし頭を首の上にまっすぐ置いてみました。足は大地の上にしっかり立ちました。青い空、白い雲、そよぐ風は何処からやってくるのでしょう。





2008年8月18日月曜日

お盆


 母のお墓は小さな丘の上にあります。
太陽をいっぱい浴びていつも輝いています。
「太陽がいっぱい降り注ぐ場所がいいな」と、いう私に「夏は暑いぞ」と主人。


田舎のあぜ道は、この季節大きく茂った草たちで覆われます。
見下ろした棚田には凛とした緑の稲穂が、高さを競っています。

朝、木の下で鳴いていた小さなせみは、白樺色のニィーニィー蝉。
昼うるさく鳴いていたあぶらぜみが、かなかなと鳴くひぐらし蝉に変わる頃
村はもう赤とんぼの季節です。

田んぼに切り株が残り,籾殻を焼く煙があちこちから上がります。
遠くで太鼓や鐘の祭囃子が聞こえます。

やがて、かさかさと舞う枯葉の音を聞きながら夜長の秋は深まっていくのです。
早く目覚めたその朝は一面の銀世界、太陽の光を浴びてきらきらと輝きます。

張り詰めた空気が緩む頃、雪の下から顔を出しているのは春を待ちわびている蕗の薹です。

時を経ても変わる事のない自然の営み。
村は自然の営みの中に、人々の暮らしがありました。

なにもなかったお盆はタバコの葉の収穫時期、やにのついた母の黒い手が額の汗をぬぐっていました。


「環境」という名を借りて、私たちは次に何を作ろうとしているのでしょうか。






●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
腰に手を当て背筋を伸ばし頭を首の上にまっすぐ置いてみました。足は大地の上にしっかり立ちました。目を閉じると草や木のささやきが聞こえるのです。



2008年8月11日月曜日

魂を持った道具達


工場に終了のベルが鳴り響きます。
アイロンの蒸気を抜く人、ミシンの汚れをふき取る人、
一斉に今まで使っていたミシンやアイロンの掃除が始まります。
道具の一つ一つにまるで魂があるかのように・・・。


ある日、工場に立った私の目に映ったのはライン長のkさんの姿でした。

ミシンを包み込むような、ミシンと会話しているようなその姿は、縫う事が大好きと
言っているようです。柔らかい丸みを帯びた手は、流れるようにやさしく生地を包み
込みます。
単調に動くアイロンは、正確に動作を刻んでゆきます。

よく見るとライン長だけではありません。
一人、一人、流れるように動くその手は最後に次の人が仕事がしやすいように
縫いかけの製品は整然と置かれているのです。


一つ一つの作業の中に包み込まれていく心を、服達は知っているのです。


床に糸くずひとつ落ちていない工場は、縫う人の心も磨いているという事を・・・・。




●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
腰に手を当て背筋を伸ばし頭を首の上にまっすぐ置いてみました。足は大地の上にしっかり立ちました。自然の風を感じた時、もやもやした心が抜けていくのを感じました。











2008年8月3日日曜日

お父さんとゆかた


 夏がくると思い出します。

中学の家庭科に浴衣を縫う授業がありました。
その年、母は入院中で私は父にゆかたの生地をたのみました。

縁側から「ほーら」と父の声、その声に振り向いた私に太陽の光をいっぱいあびた
ひまわりの花が飛び込んできました。
黄色の花びらが白地をバックに笑っています。
緑色の葉っぱが優しい風を送っています。

私は一瞬思いました。
「えっこれ、本当にお父さんがえらんだの。」


野菜を作り写真や水彩画に熱中する父は86歳、少し耳が遠くなってきました。


父の買って来てくれたゆかたの生地はところどころ薄汚れながら、不慣れた
手つきで縫われていきました。
最後にお尻の部分に当て布をつけて出来上がった浴衣は、その年
夏の夜の晴れ着になりました。


着物の生地って不思議です。
はさみで切っても、捨てるところがありません。
少し残った生地は、四角に縫って紐を通して巾着袋になりました。

染めなおしたり、仕立てかえたり、着物は何度もよみがえるのです。




そして、貧しさから逃げ出したかった私は、黙々と働いていた両親から豊かな心を
学んでいる事を知らなかったのです。




●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
腰に手を当て背筋を伸ばし頭を首の上にまっすぐ置いてみました。そしてお尻に力を入れました。なんだか、口元がきゅっと引き締まってみえました。








2008年7月28日月曜日

小さな演奏会


 室内管弦楽の演奏会が開かれました。
20人ほどの小さな演奏会でした。

プログラムに書かれていたのは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツアルトの
「デイヴェルテイメント 17番 ニ長調 KV.334より」

拍手がなり終わるとヴァイオリンが走るように音色を奏でだしました。
ホルンやヴィオラがヴァイオリンの後をいそがしく追いかけていきます。
目を閉じるとさまざまな光景が、現れては消えていきました。

白い大理石の大広間で着飾った淑男淑女が、流れるように踊っています。
その輪はくるくる回りながら、右に左に大きく揺れています。
おおきな広間は、流れるようにまわる人達でいっぱいです。

やがて一面エメラルド色の光がたちこめ、きらきら輝き始めました。
くるくる回りながら光り輝く石はわれ、さらに細かく細かくなった粒子はいっそう光を放ちながら、夜空いっぱいになるのです。

緑一面の草原を一人の乙女が踊りながら山をぬけ空を走り、やがて宇宙へと広がっていきます。

ヴァイオリンはいつの間にかヴィオラやチェロ、ホルン、コントラバスと一体となっていました。

大拍手の中、音楽とは無縁の私は初めての感動に胸が熱くなりました。


一つ一つ音色の違った楽器たちがそれぞれの個性を奏でながら、それでいて一体となっていく様子はよく企業にたとえられます。

一人ひとり、顔も違えば個性も違う私たち。

どうしたら次の人が仕事がしやすくなるかしら、
どのようにしたらお客様に喜んでいただけるのかしら、と皆いつも考えます。

それでも、一人ひとり、個性があるように答えも、考え方も違っています。
でも、だから、新しいものが生まれるのです。

みんな、力を振り絞り自分の意見を納得いくまで伝えようとするのです。
だから、今日に甘んじてはいないのです。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
腰に手を当て背筋を伸ばし頭を首の上にまっすぐ置いてみました。なんだか、いつもより自分が大きくなった気がしました。











2008年7月21日月曜日

思いで


 母との「思いで」の中には洋服に関係している事がたくさんあります。

ウエストをゴムで絞ったギャザースカートは、ピンク地に紫色のカトレアの花が高貴な印象で私のお気に入りでした。

そのスカートは実は近所のお姉さんのお下がりでした。
いただいた時に何かに引っ掛けて破かれたのでしょうか、まだそんなに着古してはないのに裾から斜めに少し避けて破れていました。

母はそんな破れた所に同じような色の生地を当てて上手に修繕してくれていました。
そのつくろった後が一枚の花びらのように見えて、裾がひらひらゆれるたびに花びらも一緒に舞ってくれるのです。
なぜか私はそれを友達に見せびらかしたくて、好んでそのスカートをはいていたように思います。
ひょっとしたら、母から見れば何もつくろった物を着なくても、と思っていたかもしれません。

小さな農家で、朝から晩まで働きづめの母親はいつも厳しい顔で優しい言葉をかけてくれた事が有りませんでした。

今、振り返ってみると、私は母の繕ってくれたそのスカートに、母の優しさを感じていたのかもしれません。

一人、一人の思いや心は、知らない間に、事に物に伝わっていきます。


「次工程はお客様」

そんな思いを忘れないで一針、一針に思いをつなげて行きたいと思います。

●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
どうしても好きになれない。なんだかいやだなーて思う人がいたら試してください。 胸に手を当て○○さんだーい好きと叫ぶのです。 その時、その人の笑顔が浮んだらもう大丈夫。




2008年7月14日月曜日

お裁縫


 裁縫とは生地をカットし縫い合わすと書きます。

幼いころの思い出に、母の縫ってくれたスカートがあります。
特別なスカートのパターンがあった訳でもありません。
当時のデザインブックを参考に、母なりに考えたデザインだったのでしょうか。
つりベルトのついたギャザースカートは緑色のチェック柄だったのを、今でもはっきり覚えています。
そんなお裁縫をしている母の姿は、どこか誇らしげでした。

生地を選び、裁ち合わせ、縫っていく中で母の脳裏に浮んだのは、娘の喜ぶ笑顔だったのでしょう。
最後に穴を開けてボタンをつければ終わるという日、母は肝臓で入院してしまいました。

私はお母さんが退院する日が待ちきれず、妹と二人ベルトをリボン代わりにしてスカートをはいていたのを思い出します。

現在のアパレルメーカーは、効率を考え能率よく仕事が進むように、それぞれの工程が分業化されてきました。

「こんな人に着ていただきたい」「こんな人に喜んでもらいたい」デザイナーさんの思いが最終工程まで伝わっているでしょうか。
母の思いにも似たその心をみんなで共有しているでしょうか。

工場では、生地を裁断する人、芯を貼る人、ポケットを作る人、袖を作る人などいろいろな工程に分かれて一着、一着の製品が縫いあがっていきます。

「次工程はお客さま」

工場の壁に貼ってあるこの言葉は、リミットの物つくりの根幹なのです。
張り紙は年数を経て、少し茶色に変色しています。
でも、どんなに時代が変わっても、人が変わっても守らなければならない心なのです。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
どうしても好きになれない。なんだかいやだなーて思う人がいたら試してください。胸に手を当て○○さんだーい好きと叫ぶのです。なぜだか、愛おしくて涙が出そうになるのです。








2008年7月7日月曜日

カッ カッ カッ


 来年の新商品、気がつけばスタートしてからもう四ヶ月。
いったい私は何していたんだろう、早くカッ カッ カッと進めなくては。
そんな、大丈夫ですよ。ぷるんと頑張れますよ。

なになに・・何語

今日は出来あがったサンプルを確認しながら皆で検討会。

デザイナーのMさんは伝えます。
「衿のラインもう少し、こう、かキーんとしたいんですけど」
「こんな感じでどうですか?」 とパタンナーのSさん。
「そうそう、そんな風にぷるんと・・・」

「頑張ってカッ カッ カッと進めましょ。」 
パターンのチェックから縫製のチェックまで頼れる存在のKさんは、指をならして話します。
「そんなー大丈夫ですよ。もう一度サンプルで確認しましょ。」 は、
いつも冷静なパターンナーの、Yさんでした。

蛇語を話すデザイナー、蛇語を理解するパターンナー。
ムッムッ、ひょっとして君たちは「??・・・・・」
蛇語を理解できない室長は、「マグル」


妥協を許さない積み重ねの毎日。
一日、一週間があっという間に過ぎて行くのです。

蛇語の飛び交う企画室は、カタログ撮影は秋だというのに日増しに殺気だってくるのです。

今年こそは、ポッター(ハリー・ポッター)の魔法が欲しい室長でした。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
どうしても好きになれない。なんだかいやだなーて思う人がいたら試してください。胸に手を当て○○さんだーい好きと叫ぶのです。すると、今まで見えなかった所が見えてくるから不思議です。




2008年6月30日月曜日

カナダ製の名車「ダッチ」

福山大学「びんごモノづくり村」ダッヂ・プロジェクト


  「80年前の名車復活」

讀賣新聞に大きな活字

約80年前に製造されたクラシックカーの復活を目指して福山大学の学生たちが2年前から取り組んできたカナダ製の名車「ダッチ」の修復がほぼ完了し府中市内の整備工場で最終調整に

・・・・・・・・・・

9月6,7両日しまなみ海道を渡って松山市入り。復元運行されている「坊ちゃん列車」と対面。

現地ではモノつくり教室や備後地方の特産品紹介も企画しており、参加する市民や企業を募集している(讀賣新聞 5月30日より)



「おーい室長,コレコレ・絣をモチーフにしたbc商品を宣伝するんじゃ」 と、副社長。




早速工学部機械システム工学科の先生に連絡。

次世代を担う子供たちに備後の良さを知ってもらいたい。

他県に出て行かなくても備後にはこんな素晴らしい企業が、産業があるんだよ。

モノつくりを一緒にする中で子供たちに考える力、作る事の楽しさを体感させてあげたい。

備後を愛し、備後で育った先生はそんな地元への思いを熱く語られるのです。




先生の直向な言葉にただただ、感動。

是非b×cのポロシャツを着てもらいたい。

そんな思いのポロシャツは、ダッチと備後モノつくり教室のマークが入り、学生の皆さんと、テレビの中で満足そう。


地元の有志の皆さんに支えられ、「ダッチ」は子供たちに夢を与えに走ります。




●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
どうしても好きになれない。なんだかいやだなーて思う人がいたら試してください。○○さんだーい好き。きっと、いつの間にかその人のことが気にならなくなっているから不思議です。






2008年6月20日金曜日

チーフは大忙し


 リミットが製造販売している商品の中にセレモニー用のユニフオーム 「リフィン」が
あります。
毎年この時期、横浜で開かれる展示会。

リフィンをしょって立ってるチーフは、今日は素敵なロングヘアーを束ねて朝から荷造りに一生懸命です。
展示会も今年で4回目、過去起きた問題点を整理しながら今年は来場していただけるお客様に迷惑がかからないよう、喜んで帰っていただけるよう、細かい所に目配り気配り荷物のチェックに余念がありません。

4年前、3人の子供たちを育てながら主婦として母として大忙しのチーフは、仕事とは無縁の人でした。
そんな素人の彼女は、ただ、ただ、お客様に喜んでもらいたいその一心で走り続けました。
何もわからない所から、お客様を訪問、ひとつひとつの声に耳を傾け、思いを形にし、こつこつ積み上げてきた4年間。

そんな4年間は彼女を大きく変えました。

いつの間にか、彼女の周りには商売を離れたリフィンなフアミリィが出来上がりました。

生地を提供して下さる素材メーカーから、カタログを製作してくださるスタッフの方達。

靴やスカーフの製造をお願いしている仕入れ先の皆様。

そして何よりも、お仕事と正面から向かい合い、志を高く持ったリフィンがお似合いのセレモニースタッフの皆様。


リフィンのコンセプトは「後姿を美しく」、

一人、一人の皆様の後姿からまた多くをリミットは学ばせていただいているのです。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
つらい時や苦しい時、自分が嫌でたまらない時、私は口元をきゅっと上に上げ笑顔で、「私、大好き」とつぶやきます。
何で自分ばかり、そんな落ち込んだときチーフは 「私はいい子、きっと神様が見ていてくださる」と思うそうです。



2008年6月16日月曜日

メーカーの役割

 
リミットは創業38年の女性の仕事服を専門に製造販売するアパレルメーカーです。

全国のユフォームの販売店に通信販売している会社です。

私たちが創業以来守り続けている言葉があります。
 
 
それは、長年リミットの社員教育を行ってくださった○○先生の指導の言葉です。
 
先生は、如何にして他社に勝つか、いかにしたら売り上げを伸ばせるかといった指導はされません。
 
なぜなら、売り上げはお客様に奉仕した結果でしかないからと教えられました。
 
売り上げが落ちるのは奉仕の心に間違いがあるのだと・・・。
 
 
時代は今大きな変化を遂げています。
 
環境問題をはじめとし人々の暮らしも大きく変わろうとしています。
 
 
どんなに時代が変わっても変わらないもの 
 
 それは、
 
「メーカーの役割は、その価値の訴求にあります。
 
その代価として売り上げがあります。」
 
 
今年の1月、初代社長から二代目社長に代わりました。
 
代は代わっても、培われてきた心は置き去りにしたくないと思うのです。
 
 
●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
つらい時や苦しい時、自分が嫌でたまらない時、私は口元をきゅっと上に上げ笑顔で、「私、大好き」とつぶやきます。それでも辛いとき幼子のように大声で泣いてみます。すると、もっとおおきな心で自分を包んでくれるもう一人の自分に気づくのです。





2008年6月9日月曜日

縁結びの神様


久しぶりに、30年も昔のリミットのカタログを開いて見ました。
紺色の上着に同じ生地のズボンをはいたモデルさんが、笑顔でポーズを作ってい
ます。
太い濃い色の眉毛、青いアイラインは時代を感じるちょっと恥ずかしいメイクです。
そして、その表紙を飾っているのは大きな鳥居の出雲大社の写真です。

リミットの縫製工場のスタートは出雲市にありました。
出雲大社は縁結びの神様です。
人と人とのつながりの中に、リミットはいつも存在したい。
ご縁を大切にした会社になりたい。

リミットは、リミットの商品を売ってくださるお得意先に通信販売をしているアパレル
メーカーです。
営業がいなくて、お得意先に出向く事は今でもありませんが、カタログが営業マン
の役目と考えた先代社長は、縁結びの神様を表紙にしたカタログに

「リミットカタログ、ただ今到着いたしました」

と、メッセージをつけて送りました。

今、カタログには出雲大社の写真は何処にも見当たりません。
でも、その思いは今も社員の心の中に暖かな火をともしているのです。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
つらい時や苦しい時、自分が嫌でたまらない時、私は口元をきゅっと上に上げ
笑顔で、「私、大好き」とつぶやきます。笑顔と一緒に、やさしい空気が流れていくのを感じるのです。





2008年6月2日月曜日

ちょっと、ちょっと


「ちょっと、ちょっと!」

今朝も社長が新聞片手に企画室へ・・・。

「見てみ、こんなのを考えんと、
これからは、物ではなく、思いや心が大切な時代だよ。   
齢はとってもいつも情報に敏感でないと、時代に取り残されるよ」
  
「はい!」

先日も新聞片手に「ちょっと、ちょっと!」
それは、透明な付箋紙が開発された記事。

「ええでー!リミットもこんなの考えてみ」
「・・・・・?」
「○○な××にしたら○○に××たものがすぐわかるケー、ええでー
セキュリティにもなるし。なあー、Mさん」と、デザイナーのMさんへ。
   
私とMさんは意味深な笑顔で、「わかりました?」

「室長、いい考えが浮かびました。
次の新商品に使えそうです」

私は心の中で  「あー、また社長に負けた」


 「ちょっと、ちょっと!」

社長は今日も朝から、企画室から事務所の間をアメーバのようにはえずり回って
いるのです。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
つらい時や苦しい時、自分が嫌でたまらない時、私は口元をきゅっと上に上げ
笑顔で、「私、大好き」とつぶやきます。
すると、なんだかとても幸せな気持ちになるのです。



2008年5月27日火曜日

アイロンの蒸気が、出すぎです(工場変革)

  
アイロンの蒸気が、出すぎです。
ミシンの糸調子が、強すぎます。
こんなミシンでは薄い生地は縫えません。

2005年、秋
工場の中は毎日建設現場のような騒々しさです。

○○さん、いらっしゃいますか。
糸はこれでいかがでしょうか。
アイロンはこれでいいですか。

ミシンの修理販売をされるミシン屋さんや、付属を卸される付属屋さんに、
神様のようにあがめられているのは、一年間縫製指導をお願いした○○さん。

自動裁断機を薄手用に買い替え、芯貼り機を修理し、穴カガリや釦付けの機械を
購入。

生産分野を任されている副社長は、ついに 「リミットをつぶすきか!」と激怒。

 
裁断するたびに、一枚、一枚、パターンと違いはないか、振れていないかを確認し
芯貼りをした後で歪んでいないかを確認、
縫い合わすとき、左右の生地にずれはないか確認、

そんな気の遠くなる毎日・・・。

やがて、少しずつ、工場にも企画室にもノウハウが培われ、縫製とパターンの関
係が整理され、明日がやっと見えるようになった頃、彼女との契約期間がきれました。

3年が過ぎた今、工場は流れるようなミシンの音の静かな工場に生まれ変わりました。



そんなある時、久しぶりに見えたミシン屋さん。

4年前、企画の隣に工場を作った時、ドイツ製のミシンを購入しました。
素人でもきれいに縫えるだろうと、輸入先の業者さんの所まで見学に行かせて頂い
て買いました。

でも、針が折れたり、油が散ったり、部品が故障したり、とうとう最近では工場の隅に
追いやられていた高級ミシン。


      「すみません! ソフトが間違って入っていました。」


技術が勝負の業界も、どんどんソフト化が進んでいます。

もしかしたら、時代は備後を置いてけぼりするつもりかもしれません。




2008年5月19日月曜日

出会い(工場変革)

 
その年は、小雨のよく降る春でした。

勢いでスタートした工場は、作業服しか縫った事のない古参の社員達と分離させ、
日本生命ビルの中にある企画室の中に設備を整えミシンを置き、小さな工場を作り
ました。 

高校を卒業した女の子たち3名は、まだ幼さの残る少女達。
ミシンを初めて踏む少女もいました。

縫製指導に白羽の矢が立ったのは、わずかに縫製経験のある私。
内心どきどきしながら、運針練習の日々が過ぎていきました。 

それは、思いもかけない出会いでした。

チーフが たまたま勉強会で知り合った女性、
彼女は、有名ブランドの工場で縫製指導をされていた人でした。

一年間工場指導をお願いし、岡山から新幹線で通勤、縫製経験のある派遣社員
一名と一緒に、アイロン掛けから縫製指導が始まりました。

厳しさに泣き出す女の子達、
それでも、懸命に指導は続きます。
売れないサンプル商品は、いつの間にか机の上をいっぱいにしています。
専務は見ない振りして通り過ぎます。

やがて、工場は新市の本社工場と統合、改めて7名のライン編成でスタートしたの
ですが、工場の設備は何一つ、彼女のめがねにかなったものはなかったのです。

その年の10月、カタログが創刊されたその頃、工場はやっとブラウスが縫えるように
なったばかりでした。

やむおえず、「縫製は確か」と、評判の外注工場で縫ってもらったジャケットは、
彼女の 検査基準を超えません。


結果、一枚ずつ手直しをして、出荷をすることになったのです。


幸いな事に、

縫い直して出荷しても、大丈夫な程の、注文量でしかありませんでした。

 

2008年5月13日火曜日

かわいい釦


かわいい釦のTシャツは、b×c の来年発売予定の新商品。

小さな釦が並んでいて、私もひそかに 「かわいいな」 と 期待大。

でも、工場でちょっとしたトラブルが・・・。

それは、一つ一つ手縫いで、釦をつけなくてはいけないのです。

能率を、考えると とても時間のかかる、手仕事です。

工場は、機械で付けられる釦を、選んで欲しい。

デザイナーは、この釦は外せない。

首周りの縫い方も、見返しの縫い方も、その部分だけを縫って確認し、
やがてパターンへ、サンプル縫いへ、 と 進んでいくのです。
 

こんな繰り返しの中、また一つ商品が、練り上げられていくのです。

 

2008年5月7日水曜日

絣から (工場変革)


日本三大絣といえば、「久留米」「伊予」「備後」があげられます。
中でも広島県福山市の備後絣は、機械化で量産に成功、飛躍的発展を遂げました。

江戸時代に始まり、明治元年に大阪で量販の道を拓いた備後絣は、1960年前半に
全国シェアの七割を占めるほど、生産していたといわれています。

幼い頃の記憶の中に、お母さんといえば 「絣のもんぺ」姿が浮んできます。

やがて洋装中心の、新しいファッションの台頭や、海外の製品に押されて、絣はいつ
の間にか、その姿を消していったのです。

絣に代わって発展したのは、繊維産業でした。
40年前、町には集団就職した人達であふれ、行きかう車にはぎっしり積み込まれた
製品、町は繊維と共に発展していました。
 
 
リミットは、絣の賃加工から始まりました。
やがて、男性の作業服を中心とした加工から、女性の作業服へ、そして、アパレル
メーカーへと、 社長(現会長)の夢は膨らんでいきました。
 

時代は、備後をアパレルメーカーから やがて、流通業へと変えてしまいました。


四年前のリフィンスタート時、わずかに残った国内工場は、中国での計画生産の
フォロー役として、 わずかに機能していたにすぎなかったのです。

 

2008年4月28日月曜日

工場変革 1


リミットグループのブランドの中に、セレモニーの司会をする方のユニフォーム、
「リフィン」があります。

業界のリサーチを重ね、一般の方の声を聞き、アンケートをとり、業界の未来を模索し
ながら、2年かけてたち上げたブランドです。

4年前のその日、企画室ではリフィン立ち上げの最終段階を、迎えていました。

途中、社長(現会長)から、私の元に電話がかかりました。

「素材は、今の工場が少し背伸びをすれば扱える位の生地を、選びなさい」

「はい、そのつもりです」

結果、選んだ生地は、落ち感とドレープ性のある、最上級の柔らかい生地でした。
縦、横、少し触っただけで、どちらにでも動いてくれます。

洗脳されたのは、専務(現社長)の一言でした。

「リフィンは業界の、憧れとなるようなウエアで、頂点を目指す。
 この生地は、それにふさわしい生地なんだろうね。」

この後、工場と、生地との戦いが始まったのです。

それはまた、工場の新しい歴史の始まりでも有りました。



2008年4月21日月曜日

ポケット、「いる?」「いらない?」



今春、新発売のb×C商品、
肩章のついたメンズブルゾン (bc_1130)は、スレンダーでカッコいい、
社内でもとっても好評。
社長の即決で男性社員のユニフォームに。

なのに、
「今まで着ていたサイズより、小さい」 「ポケットが胸にしかないので、使いにくい」...。

確かに今までのユニフォームなら、ゆとりがいっぱいあって動きやすく、
お腹のでっぱりも気にならなかった事でしょう。
ポケットも いっぱい付けて、何でも入りますよ、便利ですよ、が売りでした。

でも、b×Cのコンセプトは、一般衣料の持つ「デザイン性」と、
仕事服としての、「機能性」の融合です。

時としてそれらは、相反する結果を生み出します。

過去に何度も、カッコいいユニフォームを造ろう、と試みました。
でも、結果 「ユニフォームなのだから」、といつも機能性を優先させてしまっていた私。

デザイナーは答えます。
ゆとりを入れると、スタジアムジャンバーになってしまいます。
ゆったり着たい人は、一段サイズの大きいのを選んで欲しい。
ポケットも、いっぱい無いからカッコいい。

サンプル注文いただいたお客様からの、要望もありました。
「デザインはとても、気に入っている。 だけど、ポケットがどうしても欲しい。」

ならば、デザイナーが納得いくポケットをつけてみよう。
結果、少し浅めで、ひょっとしたら入れにくい位置に付いているかもしれませんが、
イージーで脇ポケット付きも、対応することに致しました。

b×Cは「ユニフォーム」ではなく「仕事服」。
シンプルでカッコいい、街に着て出ても、誇らしい仕事服。

リミットの社名のコンセプトは、「接点」
「カッコよさと、仕事服」、
この接点をb×Cは見つめていきたいと思います。


2008年4月14日月曜日

それぞれの思いを乗せて

 
今日は朝から花粉の舞うどんよりとしたお天気。

花粉症と診断されたSさんはテイッシュ片手に新商品の打ち合わせです。

今年はリフィンをスタートして4年目、全体に少し時代に取り残されている商品もあり、改めて全商品見直しです。

また、b×cも二年目に向けて奮闘中です。デザイナーのMさんは、今年はONとOFFだと張り切っています。

リミットも、長年見つめてきた電子関係の工場に提案したい商品があります。

それぞれの思いを乗せて、2009年新商品号が、スタートをきりました。