2008年10月6日月曜日

それから (冷たいリミット)


 小さな列車は走ります。
ただ、ひたすら走ります。
小さな振動を大きな振動にかえて走ります。

次々に変わっていく景色に、窓の枠をかえながら走ります。

回りの声も聞こえません。
過ぎ去って行く人達が手を振っています。
隣を走る列車が呼びかけます。

それでも、ひたすら走ります。
冷たい鉄の塊です。
やさしさのない塊です。

走り続ける列車は誰を乗せているのでしょう。

よくよく、見てください。
冷たい鉄の中は、春の息吹が漂っています。
やさしさのない塊は、鎧です。
お客様を、まもる鎧です。

だってほら、皆が乗っているリミット号。
誰でも乗れるリミット号です。

行き先は、季節です。めぐり来る季節です。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
大きな大きな石がありました。何千年、何万年生きているのでしょう。そーと耳をあててみました。海の音が聞こえます。風のささやきが聞こえます。深いふかーいずーと深い、シーンと静まり返ったおとでした。



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