小さな僕は、いつも脇役です。
僕たちは、必要な時に、必要な数だけ、ネームさんやラベルさん達と一緒に
納品されるのです。
工場の中は順番待ちしている先輩たちが順序よく並んでいます。
いつ、順番が回ってきてもいいように、僕は身支度を整えました。
丸い目玉はピカピカに、口は針が折れないように清潔に歯磨きして待ちました。
でも、順番が来ないのです。
「変だね、おかしいね。」 ラベルさんもネームさんも、騒いでいます。
あんなに磨いた丸い目玉も、歯磨きした口も ほこりがたまってきているよ。」
「ねーねー。」 ネームさんが情報を聞いて皆に伝えます。
「なんか、黒生地さんに問題がおきたんだって!」
「あの黒生地さんは繊細だものねー。 ちょっとの事でよく泣いているよ。」
「だから、計画が変更になったんだってー。」
「えっ、それっていつの事。」
「もう、一ヶ月も前のことなの・・・。」
小さくったって、脇役だって、誇りがあるよ。
ほら、王様がいつも言っているじゃないか。
「物に命を入れるのは、物を大切にする心だよって。」
一週間後、行き先変更になった釦君。
おめかしして明日の出番を待っているのです。
●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
雨が降って風が吹いて、嵐がやってきました。横にお辞儀しているススキたち、ほこりを落とした木々たちはすがすがしい顔で得意げです。
今年もやってきた台風は、ゆっくり離れていきました。もうすぐ10月、新しい職場で再出発を迎える人達にも、秋はやがて過ぎていきます。
今年もやってきた台風は、ゆっくり離れていきました。もうすぐ10月、新しい職場で再出発を迎える人達にも、秋はやがて過ぎていきます。
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