2012年12月17日月曜日

郵便


 誰もいない我が家に、年末になると増えてくる不在連絡表

「ハイ、〇〇郵便局です。」
「もしもし、不在連絡表が入っていたのですが」

「それでは、追跡番号を教えてください」
「・・・・」
「種類番号は何番になっていますか」
「・・・・・」
小さな文字がいっぱいの不在連絡表
あわてて探すと余計に時間がかかります。

でも、今日の叔父さんは違います。

「もしもし、不在連絡表が入っていたのですが」

「それでは、不在連絡表にシールがはってあります、
そのシールの最初に書いてある追跡番号を頂戴できますか」

「不在連絡表の一番上に郵便番号があります、その横の種類番号を
教えてください」

なるほど、
目線は必要な番号を、すでに発見しているのです。

「よっ”いいね」
思わず拍手をしたくなる私です。




2012年12月10日月曜日

ガンガーラの谷


 
 なだらかに見えた山肌に突然現れた坂道
駆け下りるとぽっかり大きな洞窟が
鍾乳洞の中は神秘の世界です。

洞窟を抜けると
そこは、自然豊かな原始の世界。
赤ちゃんがすっぽり入るほどの大きな竹
何メートルもある根っこを持つガジュマルの木
斜面にきりたった大きな岩は、珊瑚礁の化石
暗闇の中を流れる川

思いは、1万8千年前の古代人・港川人が発見された場所
港川フィッシャー遺跡へ

日本人のルーツでは、とされる港川人
今も発掘が続く洞窟の中

何万年もの命をいただいている私達
感動は頬を伝って流れていきました。

2012年11月26日月曜日

玉泉洞


 何万年、何十万年の歴史の足音

曇天の南の島は、洞窟をくぐると
そこには神々の神々しい世界が広がっていました。

天井から降り注ぐ数えきれないほどの
針は閃光花火の集まりです

何十万年の歴史の中
針先の一滴、一滴が地球の歴史です。

神殿に続く黄金の柱、
白く輝く広場には、
何体もの神々が静かに、ひっそりたたずみます。

あふれる水
受けきれなくなった器は、さらに下の器へと
コバルト色の光となって注がれていきます。

40年の記念の一日

何十万年もの歴史の一瞬です。

2012年11月19日月曜日

自動改札機


 いつもより一層大声で新聞を読み聞かせする主人
感動を一刻も早く伝えたいのです。

大声で読むのは、日経新聞に毎日連載されている「私の履歴書」
オムロン名誉会長の立石義雄氏
自動改札機にまつわる開発秘話

「出来ませんと言うな」

技術者の人達の苦闘の日々

ある日魚釣りをしながら何気なく見ていた川面の流れ
川面を流れる笹の葉が
石に当たって向きを変える
そこに、定期券と、切符の仕分けの鍵が

追い詰められ、追い詰められた時
偶然と思えるようなひらめき

どうしたら同時に通る異なる切符の仕分けが
トラブルなく可能にできるのか

追い込まれたのは、市場のニーズ
追い込んだのは、自分自身。

2012年11月12日月曜日

老木


空を覆うように両手を広げた楠木
幾重にも伸びた太い幹には、沢山の獅子が
髪を振りかぶり、にらみつけています

こぼれんばかりの桜の花々
必死で抱えた老木は
垂れ下がる細木の先まであふれんばかりの花びらです。

143回のお四国
旅路の写真の整理を頼まれました。

移り変わる季節の中
会長の心を捉えたのは
何百年、老いてなお隆々と生い茂る
老木たちです。

紙面いっぱいの大木

レンズの向うに
見上げた空は
透けるような青空です。

2012年11月5日月曜日

青空


 ぬけるような青空
さわやかな秋の一日
心温まるお話を聞きました。

寄り添うとは、
感謝であり、愛であり、相手の気持ちがわかるという事

人も自然も宇宙もすべてがつながっているという事

「すべての働く女性のために」
リミットが掲げる理念
どうしたら喜んでもらえるのか、
会長の頭は、いつもいっぱいでした。

「私心なかりしか、」
京セラの稲盛名誉会長は
第二電電、創業の時
何度も自分に問いかけられたそうです。

暗闇の中、新聞配達の音がします。

両手を合わすと
柔らかな蝋燭の明かりは
一段と輝きをますのです。

2012年10月29日月曜日

ひらめき 2


 「ひらめき」それは、

素晴らしい考えが瞬間的に思い浮かぶ事
直感的な鋭さ

辞書にはこんな説明が載っていました。

会長は、ご先祖からのお告げと説明します。

健康もない
資金もない
人材もいない

すべてが「ないない」づくめの八方塞がり中
明いているのは空だけでした。

手を合わせ
自然と一体になった時
空から
ご先祖の
声なき声が聞こえるのです。



2012年10月22日月曜日

ひらめき


「 通信販売は心理作戦」

久々に聞いた会長からのメッセージ

いつ聞いても納得できる言葉です。

通信販売はいつも一方通行。
通信を受け取った人が何を感じるか
何を感じて欲しいか
たえず、考えるのは相手の心

朝、四時
まだ人々は眠りの中
でも、自然の営みは絶え間なく動いています。

目を閉じ、
耳を澄まし
心の目を研ぎ澄まし
自然の息遣いを感じた時
ひらめきが生まれたのでした。

ひらめきが、リミットの歴史を作って行きました。

2012年10月16日火曜日

メール

 
 不自由な右手を労わりながら、左手で打たれたのでしょうか、
大きな息使いが聞こえてくる、精一杯の思いが伝わってくる
そんなメールが届きました。

「リミットは日本で最初に女子ユニフォームを製造販売した会社です。
 その歴史が数多くのノウハウを蓄積しています。」
「リミットは日本で最初に通信販売を開始した会社です。

その歴史が画像と販売システムの極限を追求した情報を提供します。」
上記を考えたときに女子物のノウハウが継承されているか心配です。


リミットの歴史は、会長の歴史、多くのノウハウが蓄積されてきました。


誰の言う事も聞かれません。


他社がはじめた時はもう遅い、
時代の息吹を敏感に感じておられたのでしょう。
その足は、いつも一歩先を歩いておられました。

創業40年の特別座談会でこんな言葉をみつけました。

「与えられた条件の中でできる事はなにか、
現状に甘えず未来の為の種まきをして欲しい」

常にエンドユーザーである働く女性に寄り添ってきたリミット

もみじが、色づき始めた研修センターの庭に
「伸栄被服創業の地」の石碑が、静かに立っていました。

2012年10月9日火曜日

棚田


 BSプレミアム世界一番紀行10月7日に放送されていたのは
中国雲南省の世界で一番の棚田。

広さは54000ヘクタール、標高1800mの地点から深い谷底に向かって延々と連なります。
急な山肌を切り開き、棚田を築いてきたのは、1300年にわたって米作りを続けてきた
少数民族、ハニ族の人々。

番組は丁度収穫の時期
刈り取られる田んぼの中には、鯉が育っていました。
鯉は害虫を食べ、その糞は田んぼの肥やしになります。
収穫のお祝いには鯉の料理が食卓を飾っていました。
人々は、お米を天から授かった神様からの贈り物と言います。

人がやっと通るだけのあぜ道
車も機械も入る事はできません。
収穫の米は肩に担いで運びます。
収穫後のあぜ直し
すべてが人の手で行われます。
気の遠くなるような繰り返し

でもこの繰り返しの中に意味がある
それは私達の歴史であり生活です。

延々と続く棚田
「美しいと言うより愛おしい」
日焼けした肌は誇らしさで輝いていました。







2012年10月1日月曜日

チラシ


 いただいたチラシに、たまたま載っていた浄水カートリッジ付きの蛇口

「早く交換してもらえよ。」と注意されながら
ちょっと持ち手が不自由だけど
それでも使えるので、と
いつの間にかもう3年近く

「近所だし
ちょっと行ってみよう」

帰りには注文書を手にしていた私です。

捨てるには忍びないお洒落なチラシ
高級感いっぱいの冊子や心に響く情報誌
広告や、雑誌がポストに入っていない日はありません。

でも、次の行動に
後押しするのは何なのでしょう。

実は、蛇口の大きな写真を見たときから
心は前に向いて行っていたのです。

「そろそろ、換えなくては」




2012年9月24日月曜日

繰り返し


 「どうして」
三歳の孫は同じ質問を繰り返します。

「公園に行って遊ぼうね」
「どうして」
「お家の庭は狭いから、公園は広いからみんなが遊べるよ」

「どうして」
「道路で遊んでいたら危ないから、公園はひろいじゃろ」

「どうして」
が何回もつづきます。


昨日の朝、「○○さんが、入院されたらしい」
昨夜、「○○さんが入院されたらしいよ」
そして、今朝
「言ったかの。○○さんが入院しちゃったらしいよ」と主人

 「もう、三回も聞きました」と私

学ぶ時も、忘れていく時も
人は繰り返し
繰り返し

繰り返していくのでしょうか。

2012年9月19日水曜日

市電


講演会の帰り道
車をとめた娘のアパートまで
JRなら10分、

たまには、市電に乗って街並みを見て帰ろう
「倍も時間は掛らない、はず」
そんな主人の言葉を信じて
「宮島口」行きに乗りました。

西広島で降り口に向かった赤いシャツのおばさん
なんとなくうかない顔です。
あわてて、「どうだったん」と主人
おばさんは指を重ねて首を横に振ります。
「負けたか」

「この前すごい人出だったね」
「電車に乗れなくて歩いて帰った人もいたらしいですよ」

おしゃべりしているのは、市電の車掌さんとお客様たち
大好きなサッカーのお話らしい、

思わず口をついて出た主人の言葉
「のどかだねー」

なんとなくそう言わせてしまった光景
暖かい、穏やかな、陽だまりのような
いつまでも、なくならないでほしい光景でした。

お目当ての井口駅まで一時間
優しいのどかな風邪がふいていました。

2012年9月11日火曜日

バイキング


 地域で採れた野菜が売られていた、山の中の道の駅。

野菜のバイキング料理店が、オープンして一年
休日のお昼時は、待ち時間が一時間はかかる人気のお店に。

大好きな肉じゃがや、旬の野菜は田舎の素朴な味付けです。
まぜご飯におこわ おはぎにデザート
自分でフルコースを作って、田舎育ちの都会帰りのおばさんの
満足度はとても高いのです。

初めて行ったその時は
オープンしてまだ1ヶ月、

不慣れな手つきの叔父さんは
緊張されたのでしょう、
あろう事か二度もお皿を割られてしまいました。

でも、それはそれでとてもほほえましく感じられたのです。

今日は、お皿を割られた叔父さんの姿は見えません。
そして、ちょっと幸せ気分にしてくれる
デザートも、おはぎも別コースになっていました。

お腹に入る量は同じなのに

お皿を割られた叔父さんが、なぜだか懐かしく感じられるのです。



2012年9月3日月曜日

鞆の浦


 ゆっくり流れる時間を味わいたくて
鞆の町を歩きました。

曇天の空を映した海は薄褐色いろです。

路地裏の石畳
爽やかな風が通り過ぎていきます。

突然現れた鞆竜馬、
坂本竜馬の、「隠れ部屋」が残るという
「桝屋清右衛門宅」前でにっこり

麦茶をいただきながら、「いろは丸事件」
紀州藩を相手に談判の経緯は
あっという間に約束の時間に

ゆっくり流れた時間は
「また、来よう」
明日へのお土産です。

2012年8月27日月曜日

お別れ

 
 28年間、リミットを支えてくださった古参の社員さんが退職されました。
創業以来、初めての定年退職者です。

玄関のドアを開けると応接間を改造した事務所に、わずか五人の小さな会社。
隣の部屋では子供達の遊ぶ声が響きます。
会長は玄関に背を向けて一生懸命パソコンとにらめっこです。

入社は、本格的に通信販売に業態転換の過渡期でした。
やがて、福山市に新築した日本生命ビルに入居
広い事務所に会長と二人。

その仕事は
会長の夢を聞くことでした。

小さな会社で、大きな仕事
それは、コンピューターを駆使した「喋らない商売」システム

納期を守らないから、断りを言わなければならない
品質が悪いから、断りを言わなければならない
うれないから、買ってくださいと言わなくてはならない

「入金していただかないと、コンピューターが動きません。」

沢山の名言の影に、時代を生きた彼女の存在は
リミットの母体を支えて行ったのです。







2012年8月21日火曜日

 朝、玄関のドアを開けると一斉に響いていたセミの声が聞こえなくなりました。
あれから一ヶ月、あっという間に夏はもう秋の準備に入っていました。

なんだか身体が思うように動かないな
お腹がなんだかおかしいな

小さな穴を開けての手術は、あっという間に終わり
天井をみつめた生活もほんの数日
「一週間もすれば元の生活に戻れますよ」

確かに痛みは、徐々に和らいでいきました

でも、かすれて声が出せません
指に、手に、力が入りません。

何もかも当たり前と思っていたことが、そうでは有りませんでした。
身体の小さな動きにも
どれだけ多くの私が、働いていてくれるのでしょう。

玄関のドアが重いなあー
忘れないように、
夕方、秋の虫たちの優しい声が聞こえます。




2012年7月16日月曜日

ハイ、よろこんで


 「ハイ、よろこんで」

たまたま目にしたBF法入門のマニュアル本
皆で少しずつ読み返しながら
何がなんだかわからないけど実践してみました。

理屈が先に入ってしまいます
やらなければならないから、と義務感に押されてしま
います。
なかなか「ハイ、よろこんで」
が言えません。

そんなある日
「何も考えず、まず実行してみました。」

「不思議です、今まで縫えない、いやだと思っていた商品が
ハイ喜んで、と受けてみたらこんなにスムーズに縫えました。
いやだ、の思いが消えたのです。
次から、電話の受け方が変ってくるような気がします」

ラインの責任者の一言は
皆に勇気をあたえます。
また一段積み上げられたハードルを
必死で登る勇気です。

2012年7月2日月曜日

寄り添う


 別ブランド、「リフィン」のメッセで、上智大学 高木慶子先生のお話を聞きました。

死の悲しみはどうしようもなく、悲しみとして表現するには
とても耐え難く、深く苦しいもの

お父さんの死に泣き崩れている娘さんに
そっと椅子を勧めてくださった看護婦さん

何気ないしぐさが、心遣いが
悲しみの心に寄り添いました。

残された人達の行き場のない深い悲しみ

でも、その心にそっと寄り添えるのは
葬儀をお仕事としている
貴方なのですよ。

深い感銘を残して
講演会は幕を閉じました。

私たちもユニホームを通して
働くみなさんに
そっと寄り添える存在でありたいと思うのです。

2012年6月25日月曜日

鍵穴


 強かった昨夜の雨も霧雨に変っています。
曇天の空が低く広がっています。

うっすらとほの暗かった周りの景色も
いつの間にか明るくなりました。

川沿いの竹やぶ
小鳥のさえずりがきこえます。
必死で竹になろうと、うす皮を落とした竹の子が
大きく両手を広げています。

自分と戦い
仕事と戦い
病と戦い  いつも戦ってこられた人生

でも、戦いは必ず敗者と勝者に別れます。

戦わなくてもいい人生
暖かで、優しくて 穏やかで
そんな明日があることが

太陽は見えなくても必ずおとずれる今日という日の
小さな鍵穴、目の前にあるのです。

2012年6月19日火曜日

かなう


 夕ご飯の仕度を手伝ってくれながら娘がこんな話をしてくれました。

それは、今日聞いたセミナーでのお話

「人は言葉で人を作っているんだって」
「そうだね、言霊って言われるもんね」

「人は口でしゃべるよね
その口の横にプラス(+)とマイナス(-)を重ねると
はく(吐く)と言う字になるよね。

人は言葉を吐く事によってしゃべっている
でも、吐くからマイナスを取ると
何と言う字になる。」

「叶う・・・?」

「そう、夢が叶うになるんだよ
プラスの言葉が夢をかなえてくれるんだって」

お母さんには夢がある?
マイナスの言葉はプラスを消してしまうよ

末娘の優しい、やさしい助言です。

2012年6月5日火曜日

菜の花列車


 鉄道が大好きな孫のために撮っていた録画番組
NHKの、小さな旅 
千葉いすみ鉄道、菜の花色をした「菜の花列車」の旅を見ました。

赤字の鉄道会社が公募したのは自費700万円払っての運転手
小さな頃からの夢を実現したくて50歳を過ぎてのチャレンジは
夢を追い続けた鉄道マニアの人達の第二の人生でした。

毎日新しい出会いがあり、
沿線の景色は日々変っていきます。

四季を感じながら走る列車
デスクワークでは感じなかった新鮮な空気
人の命を守る緊張感と一緒に
毎日が感動の連続なのでしょうか。

沿線を守る地域の人達と一緒に
菜の花色した列車は
春をガッタンガッタン走り抜けていきました。

素敵な言葉で終わった小さな旅

いくつになっても変る事のない夢
夢があるから
今日も走っているのです。

2012年5月28日月曜日



 苦しまないで下さい。
悲しまないで下さい。
いつの間にか作ってしまった善人の壁に
苦しまないで下さい。

人は皆同じです。
自分の都合で生きてきた人生
誰もそんなに大きな違いはないのです。

そんなもんだと悟った時
乗り越えられる壁があることを

もともとなかった壁だから
思い込みで作った壁だから

「60歳をすぎたら
顔美人より声美人ですよ」

かける声の大切さを
また教えてもらうのです。

2012年5月21日月曜日

お任せ


 いつもなら冷たい指先
触ると悲鳴をあげられていた右手も
今日はなんだか様子が違います。
強張っていた右肩もいつもより柔らかいのです。

強張った肩から
枯れ枝のような腕
腫れ上がった右手
少しずつ少しずつ指すってみました。

「あれ、手が少し動く」

冷たかった指先もホカホカ温かです。

いつもと変らないマッサージ。

でも、初めて痛いのを我慢して受けられた病院のリハビリー
変ったのは
お任せの心です。

2012年5月14日月曜日

温室みかん


 蒲郡の温室みかん農家が、テレビで紹介されていました。

木につける実の数、成長過程にあわせた絶妙な温度管理、水やりの時間、量
細かく管理された蒲郡のみかん。
甘くて美味しいみかんは、一般の路地みかんよりも二ヶ月も早く出荷されるのだそうです。

昭和40年代、みかんの価格大暴落で全国のみかん農家が栽培を止めて行きました。
そんな中、先祖から受け継いだみかん作り、「止めるわけにはいかない」
危機をチャンスに変えたのは、地域ぐるみで取り組んだハウス栽培だったのです。

取材に行った俳優さんは
「みかんを厳しく管理して育てていらっしゃいますが、本当にみかんを信頼しているし、
みかんが好きという思いが伝わってきました。
みかんと生産者の人の間には、信頼関係があるかのようです」

信頼されたみかんは、信じたとおりのみかんになろうと努力しているのでしょうか。
人もまた信頼された時、必死で信頼に応えようと努力が始まるのでしょうか。

出来ていないことを不満に思う前に
まず信じてみよう。
その為にすべき事を忘れているのでは・・・。

甘くて美味しいみかんは、厳しい自己管理の中で培われていたのです。

2012年5月7日月曜日

高野山


宿坊の朝は、爽やかな小鳥のさえずりで明けました。
深い霧に覆われた奥の院は、
やがて、しとしとと降る雨の中にありました。

弘法大師が開いた聖地高野山、立ち並ぶ大杉の間に
沢山のお墓や供養塔がありました。

人は限りある命を生きています。
でも、両親から受け継いだ命、
両親はそのまた両親から
そう考えると
今この命は、
遠いはるか彼方の祖先から
脈々と受け継がれてきた命

今ここに私たちは限りある命を
永遠に生きている

こうしていただいている命があることが
生かされている命があることが
どんなに有難いか
どんなに幸せであるか

ふと気がつくと、
先日聞いた、お葬式での説法を思い出しながら
奥の院の石段を一段、一段登っていました。

2012年4月23日月曜日


 「人づくりBF法入門」という本を読みました。

終戦後満州で戦った日本兵はソ連の捕虜としてシベリア抑留にあいました。
厳しい自然、過酷な労働の中で多くの人が亡くなって行きました。
作者は200人の隊を率いる曹長でした。
やがて捕虜生活を要領よく生き抜く為に身につけた方法は、如何にサボるかでした。

そして生涯忘れる事のない出会い。

「私たちを驚かせたのはその酷い身なりだけではなく、その真剣そのものの作業ぶりでした」

「重労働で沢山の仲間が死んでいるんだ、生きる為にはサボる以外にないのだ、それを君たちのようにがむしゃらに仕事をされては統一が乱れてしまう、明日からもっと手を抜いて仕事をやってくれ、いいな」
隊を乱さないように注意に行った作者は逆にこんな言葉を聴くのです。

あなた方は逆立ちの人生を送っているのです
一番大事な芯がぬけています
それでは栄養失調になったり餓死するのは当たり前です。
食事も待遇もあなた達より悪い、でも私たちの目も筋肉も生き生きしています。
あなた達の目はさばの腐った目です。

「あなた方もいいかげんに捕虜を卒業したらどうです
心まで捕虜になる事はありませんよ
大事な事は目的意識の自覚です。
捕虜として敵の仕事をさせられているこの考え方にまちがいの根本が
発しているのです。」

今の時代、捕虜なんてありえない
「あなた達も何かの捕虜になっていませんか、」
どこかでそんな声が聞こえたような気がしました。

2012年4月16日月曜日

いのち


 頂いた冊子に百歳で今なお現役のお医者さん、日野原重明先生のお話が載っ
ていました。

先生は小さい頃から病気ばかりされていたそうです。
京大医学生の時に、肺結核。
当時は特効薬がなかったので、ただ安静にして半年以上寝たきりだったそうです。

つらく悲しい事に出会った時は「なぜこんな事が私にだけおこるのだろうか」と思い
ます。
でもその意味は後からわかるんですね
一年間の闘病生活がなかったら病気の人の心はわからないままだったでしょう。
医学という学問は学ぶ事が出来ますが病気になった人の心は実際になった人で
ないとわかりません。

突然襲った半身の麻痺は
それまでの生活を一変しました。
老いてなお希望いっぱいの人生が、突然暗闇になりました。
一つ一つ手探りで見つけられた小さな明かり

日野原先生はこんな言葉で綴られています。
すぐに癒されなくても持ちこたえられるという信念が希望を生みます。
希望とはどうしたらそこから脱出できるかを考えるのではなく
どうしたらその状況に耐えることができるか、その可能性をあきらめない事です。

そして、先生は次の世代を作る小学生に こんな授業をされているそうです。

心臓は必要なんだけど、命ではなくてポンプで入れ物なんだ。
「いのち」とは皆さん誰もが持っていて

使える時間の事なんだよ。

2012年4月9日月曜日

ありがとう


 その夜、式場は溢れんばかりの人で埋め尽くされていました。

末の娘からの電話で知った訃報
娘の小学校の担任の先生は、独自の教育方針を貫かれ
子供たちだけでなく父兄である私たちにまで慕われる
優しさと強さの塊のような人でした。

毎日先生が手作りされる通信には子供たちの優しさ
思いやり、そんなエピソードがいっぱいです
卒業前の最後の通信、先生からのメッセージ
それは「今日も山のぼり」

そして今日、お通夜
「有り難う、有り難う、有り難う、子供たち有り難う
ご近所の皆さん、ありがとう・・・・・」
ご縁のあった多くの団体、多くの人たちに死期を悟った先生からの
メッセージが代読されました。

限りある命
でも、癌の宣告は先生の活動の妨げにはなりませんでした。
「今日もやまのぼり」病床にあってもなお夢を語られていた先生

そして、今日最後のメッセージ
「ありがとう、ありがとうありがとう・・・・・・」

ただただ、感謝の言葉で埋め尽くされていました。







2012年4月3日火曜日

春風


 穏やかな春の日差しに包まれた暖かい日です。

3月も終わり、なんだか空気が違うのです。
今までにない強い力を感じるのです。

何かが変ろうとしています。
何かが変ってきています。

それは、
工場の周りに植えてあるパンジーが元気よく鮮やか色に
輝いてみえたからでしょうか。

いいえ、
社長から投げられたボールしっかり受け止めよう、
そんな皆の思いが何処からともなく伝わってくるのです。

日本のジーンズ素材やお酒、盆栽が世界で注目を浴びている
そんなニュースを聞きました。

日本人の持つ豊かな感性、精細なまでに研ぎ澄まされた個性
一つ一つのこだわりが評価されているのだそうです。

心地よい春風は

「今週からまた出かけるよ」
会長の顔まで、幸せ色に変えました。






2012年3月26日月曜日

私の履歴書


 日経新聞に連載の、「私の履歴書」
今月は大和ハウス工業会長の樋口武雄氏です。

「停滞は後退」海外へ攻勢と題した今朝のお話
百周年で売り上げ高十兆円という大目標に向って
取り組まれている中国市場への展開のお話

海外展開の鍵は英語
会長は自から、年頭訓話を英語でされたそうです。

自ら示した視線の先に 
社員の人たちが見たのは、売り上げ高十兆円への熱い想い

目標があるから頑張れる
今やらなければならない事が見えてくる

社員一人ひとり
目標に向っての前に
指し示す方向に自ら目線をすえる
力強い言葉なき言葉です。





2012年3月19日月曜日

資産


 均一の製品を縫い上げるための縫製仕様書
根幹ソフトのバージョンアップに伴い新しいソフトの研修を受けました。

まだ手書きが主流の時代
縫製業界に新しい時代が始まろうとしていました。
聞いた事もない言葉
「テーブル?」

何度も何度もやり変えたのは
単なる縫製のための仕様書ではなく
リミットの製品の根幹としたいと考えたから

それから10年近くの歳月が経ちました。

時代は変化しcpも目まぐるしく変化していきました。

スタートの考えを引き継ぐには問題が沢山出てきました。

会社の資産となる仕様書です。

もう一度、もう一度、
考え方をすり合わせ、目的を明確にし
限られた予算の中、明日の業界を描くにふさわしい
目先だけにとらわれない

「会社の資産となる仕様書です」

次の世代に伝えたい言葉です。

2012年3月5日月曜日

配置換え


 「数字を書いて貼ってあるのでこの順に並べてください」

金曜日の午後三時、ミシンの大移動が始まりました。

小ロット多品種の工場は
一人で何工程もの工程をうけもちます。
特殊な機能を持つミシンを何台も使います。

何ヶ月も前から取り組みは、スタートしていました。

一人ひとりの動きをデータ化し
一つ一つの商品を分析し
一つ一つの動きに動線をつなげます。

何度も、頭の中でシミレーションし
何度も、打ちこわし打ちこわし、
また、一から組み立てなおします。

常に目指したのは、いかに効率よく
最大の成果を生み出せるかの研究です。

でも、心の動きはデータにはとれません。

常に声かけの必要な人
自分のペースを守りたい人
頑なな人、弱い人、強い人
データでは取れない心の動きが
実は成果を左右するのです

今日は日曜日
配置換えの終わった工場は、静かに静かに眠っています。





2012年2月27日月曜日

幸せ


 2月24日、読売新聞に国民葬幸福論を掲げるブータンの
初代首相フエローを一年間努めた 御手洗たま子さんの言葉が載っていました。

貧富の格差や民族問題など現実のブータンは様々な問題を抱えている
でも人々は「いろいろあるけどいい国だろ」と胸を張っている
「自己肯定力の強さこそ彼らの原点、」

仕事で悩んでいた時上司がかけてくれた言葉が一番の宝物

こう思う事も大切だよ
「これでいいんだ」ってね

それは肯定すること
心に区切りをつけること
そして何よりもすべてを受け入れる事なのでは、

会社には様々な人が働いています。

病気の両親を抱えている人
病気の子供を抱えている人
自分自身と戦っている人

でも、職場では皆同じ目的を持ち
同じ方向を目指し働いています。

一生懸命頑張った、努力した

そこにある達成感

それは一つの「幸せ」の姿なのではないでしょうか。

2012年2月20日月曜日

教訓


 納期が迫っているのに生地が入りません。

立場の違いが大きな溝を作ります。
見つめる先が違います。

ぎりぎりで生地が入荷になりました。

芯貼りの応援に入る人
縫いの応援に入る人

皆が同じ方向を向きました。

ミシンの音に迫力があります
皆が走るように動きます

奇しくも
朝礼でながれた訓話は
「甘やかす上司より
非常に思える上司のほうが
自分を成長させてくれる」

そして、
今朝も会長からのメッセージ
「全社員が絶えず今までしてきた流れを切り捨てて
新しいやり方に変えて行くその努力が大事。」

一人ひとり
自分と向きあった
生きた教訓になりました。

2012年2月13日月曜日

メッセージ


 投資の節約が将来の発展を阻害してはなりません。
今が絶好のチャンスと考えて投資をして下さい。
行動を起こして下さい。

リミットは一人で成果を出す組織ではなく
総合力で出すパワーは大変な力を持っています。

朝、社内ネットを立ち上げると
そこには力強い言葉が毎日のように載っています。
とても右手が不自由とは思えません

机の上はいつも新しい本が開かれています。

多くの苦しみの中で
つかまれた哲学は
さらに学ぶ事で力強いメッセージになっているのでしょうか。

「魂燃やす」
登山家の栗城史多さんがテレビの対談でお話されていた時の言葉を思い出しました。
そこばかり見ていると判断を誤る
大事なのは、執着しない事

「今朝も天の声を聞いた」

左手はご先祖様のお使いなのでしょうか。





2012年2月6日月曜日

答え

  
 悩んでいる答えを探しに、百貨店に行きました。

まず行ったのは大好きなブランドショップ
春物に入れ替わった商品
大好きなスタンドカラー、しなやかなラインの中に
凛とした印象のお洋服は昨日入ったばかりとすすめて下さいました。

衝動に駆られそうになる心をぐっと抑えて
今日は見させていただくだけで・・・

向かいのお店は今テレビで放映されているカーネーションの
お母さんを持つデザイナーさんのブランドショップです。
大好きなスタンドカラーもありました。
でも、私の好きなラインではありませんでした
このラインが好きな方もきっと沢山いらっしゃるはず・・・。

どちらも中高年狙いのブランドです。
価格のこなれた商品もありました。
でも、土俵が違います。

ユニフオームは何故価格競争がおこるのでしょう。
それは個人嗜好で決まらないから
大勢の人が同じ物を着るから
きっとそれはコンセプトがないから

帰り道、めまぐるしく廻る頭の中
ひょっとして、競争するから!






2012年1月30日月曜日

ロボット


 「すごーい」
研修で見学した三菱自動車の水島工場、帰ってきた主人の第一声です。

組み立てラインの中で作業するロボットは一本の手を巧みに使い
細かい隙間へボルト、ねじを組み込みます。
一秒の狂いもなく、次の工程に流れていくのです。

ロボットから受け継がれた次の工程は人の手
人の手からロボットへ、流れるように、しなやかに
整備された工場が目に浮かびます。

時間との勝負、無駄口はいえません
トイレにも行けません

確実に自動車は数秒の狂いもなく、最高の品質のものが
組み立てられていくのです。

人は人としての知能を持ちながら
ロボットと同じタイムで管理されているように見えます。

機械の一部になってしまっているかのような人の手
達成感は何処にあるのでしょう。

それは、一人ひとりの研ぎ澄まされた心にあるのでは、

一人ひとり、自分の仕事に必死に取り組んだとき
言葉はいらなくなります。

立ち向かうのは自分の心、
研ぎ澄まされた心は、研ぎ澄まされた商品を生むのです。





2012年1月23日月曜日

二度染め


 二度染めした生地
しなやかで優しいタッチは、期待通りの仕上がりです。

大好きなスタンドカラー、何でも入る大きなポケット
ウエストまである長いスリット、
年齢と共に落ちていく肩を 姿勢よく見せる肩章と
思いをいっぱい詰めこんだサンプルが縫いあがりました。

全体的には思い通り、

でも、きりっと光るものがない
ちょっと袖を通して見たいな
ちょっと羽織ってみたいな
そんな、くすぐるものがない

思い切って知り合いをたずねてみました。
近い年齢の人たち
あっという間にデザイナーです。

見つけました、見つけました
きりっと光る一言を
素朴な素朴な疑問です。

また今夜も寝られません。


2012年1月16日月曜日

明り


 真っ暗だった暗闇にかすかな明かりが見えました。

仕事と戦い、人と戦い、自分と戦い
戦い続けた人生は緊張の連続です
いつも肩に力が入ります。

肩の力を抜いて一本の木になりなさい
風がふけば、ゆらり、ゆらりとゆれるのです

根っこを踏ん張り、負けないぞ、
風と戦ってはいないのです。
まけたら根っこから倒れてしまいます。

風にあわせてゆれる木は
やがて風が収まれば
また飄々とたつのです。

広がる台地のその中で一本の木になりなさい。
人もまた自然の生き物
太陽の豊かな恵みが降りそそぎます。

あるがままを受け入れた時
小さな明かりがともります。

私の命を救ってくれた教えです。

2012年1月10日火曜日

山の汁


 土曜日の朝、テレビで沖縄の久米島が紹介されていました。
豊かな自然、大地に降り注ぐ雨は豊かな湧き水となって
人々の生活に溶け込んでいました。

人々はこの水を
「山の汁」とよぶそうです。

生い茂った樹木
その根をしっかり抱える大地
大地から絞り出た汁は
豊かな自然をささえます。

今年も社長の年頭の挨拶と共に 新しい年が始まりました。
私たちは働く人たちに喜びと感動を与えるユニホームを作りたい
作り続けたい、それを使命としたい。

生い茂った樹木
その根をささえる大地

大地から絞り出たしるは
心の汗です、ちの汗です。