2014年3月17日月曜日

ヘリコブター


 「お婆ちゃん、なぜ怒りんぼしていないのに地震がおこるん。」
3月10日、震災の日の前日、テレビで3年前の東日本大震災の様子が放映されていました。
晩御飯の仕度をしているお母さんの側で、孫たちはテレビに見入っていたのです。

「それはね、土の下の、もっと下の下に火山があってね、それが爆発をおこすんよ」
正しいのかどうかわからない答えを、脅えた表情の二人に伝えました。
「そして、お家が壊れるんよね」
「津波がやってくるんよね」
「おもちゃも壊れるんよね」、二歳の弟も一生懸命話します。
「ガスが爆発するんよね、火事になるんよね」。
「この前、みんなで学校に避難訓練したよね、消防車に乗せてもらったでしょ、
お水も、とばしたでしょう、皆で助け合って逃げるんよ。だから大丈夫よ」

あんな答えでよかったのかなー。
真剣な表情の二人に、もっときちんと向かい合って話してやらないといけない事があったのでは、
寝ていても、心が落ち着きません

NHK特集ドラマ 「生きたい、たすけたい」
いつもなら、辛い悲しい番組はチャンネルを回してしまいます。
その夜、こみ上げる涙をぬぐいながら、救援のヘリコブターを見つめました。

小さな命を守るために一生懸命戦った先生と子供たちがいたことを
極限の中で、恐怖と戦い励ましあった人たちがいたことを、
国を超え、命を支えあった人たちがいたことを、
そして、生きたい、たすけたい思いが奇跡を起したことを
現実から目をそらさないで、
一人ひとり、一生懸命の命を伝えたい。





 




2014年3月10日月曜日

自転車


 五才の誕生日のお祝いに、孫と自転車を買いに行きました。
以前から下見に行っていたおじいちゃんは、朝から上機嫌です。

最初に行った自転車屋さん、子供の物なら何でも揃う大きなお店です。
こいのぼり、離乳食、子供服、おもちゃ、さらにその奥の壁際に自転車が並んでいました。
どの自転車がどんな機能があるのでしょう、
通路には自転車に乗って体験している子もいます。
でも、店員さんは居られないようです。
孫のお気に入りも見つかりました。でも、このまま購入するには少し不安です。

「もう一軒、見に行ってみようね。」

眠たそうな末っ子を抱いて、次の自転車やさんに行ってみました。
大きな建物の中には、いろいろな種類の自転車がいっぱい並んでいます。
早速店員さんが、好みを聞いて孫を乗せてくださいました。
その間にも、新学期を前に子供をつれたご両親が次々に入ってこられます。
お客様がいっぱい、店員の方が説明してくださる。
なんだかもう、私の中では「安心」という一文字が大きく膨らんでいきました。

価格も同じぐらいです。
ひょっとしたら、どちらの自転車を選んでも大きな差はなかったかもしれません。

違っていたのは、「安心」 という一文字だったのです。







2014年3月3日月曜日

だるまさん


 「切り捨ててばかりの人生だったよ。」
久々に見舞った口元からこぼれるのは苦しんだ人生のお話

経営するとは、社員の人生を預かることになる
そんな厳しい姿勢が、会社を守る姿勢が
厳しさへとつながりました。
その厳しさは人へではありません。
自分自身への厳しさでした。
はるか彼方に目指すところがあったから
見据える彼方があったから、必死な人生だったのです。

受け継がれた信念は
明日への歴史を刻んでいます。

人は、何処まで上っていくのでしょうか。
まだまだ、まだまだ、
新たな課題を見つけて、まだまだ、上り続けていくのでしょうか。
まだまだ、探し続けていくのでしょうか。

真新しい箪笥の上には、黒色のだるまさんが静かに座っていました。








2014年2月24日月曜日

カタログ


 18日、2014年リミットカタログの発送祭が行われました。

巻頭を飾ったのは、かつて考えても見なかった新商品たちです。
ローズ、ライム、ラベンダー、
初めて聞く色名です。

メーカーのリミットは備蓄産業です。
在庫はどのように持つのでしょう
販売は、戦略は、そして生産は、

今日は日曜日、テレビでは終日ソチ五輪の名シーンが報道されています。
中でも世界の人々を感動させたのは、ショートプログラムでの失敗を振り切って
すばらしい演技をみせたフイギュアスケートの浅田真央選手でした。
司会者の人は、苦しんだ真央ちゃんのオリンピックまでの道のりを解説されていました。
人知れず戦ってきた自分への挑戦は、最後の最後に花開きました。

バブル崩壊以後、誰もが萎縮してしまいました。
デフレが加速する中で、人々は何を見つめ何と戦ってきたのでしょう。
降り積もった雪の中、押しつぶれそうになる心を暖めたのは何だったのでしょう。
技術を磨き、ノウハウを高め、自分を磨き、
来たるべき時をジーと待っていたのは土の中のチューリップだけではありません。

「自分の好きなものを作りなさい。
お客様第一号になるんだよ。
ターゲットは商品が作ってくれる。」

ピラミット型に積まれたカタログの中央で、やさしくおなかを見つめる女性
赤ちゃんを抱いたお母さんは、最高の笑顔です。
祝詞が流れる中、30年前のあの日を思い出していました。









2014年2月17日月曜日


 トントントン
もう眠ったのかなと思った遅い時間
二階から降りてくる小さなやさしい足音が聞こえました。

翌朝、いつものようにあわただしく出かけた玄関に
名前を書いた真新しい靴が、きちんとそろえて置いてありました。
昨日、おじいちゃんに買ってもらった新しい靴です。

トントン、
そーと階下を気遣った足音はどんな明日を想像したのでしょう。
新しい靴を履いて
大好きな縄跳びを、いっぱい飛ぼうと思ったでしょうか。
お友達と鬼ごっこをしようと思ったでしょうか。
大きな口を開けて
靴は、ご主人様が降りてくるのを今か今かと待っているのです。

今日は、今年初めての会議です。
新しい組織、新しい取り組みがスタートしました。
明日に向かって
若い力は何を考え、何を取り組もうとしているのでしょう。

トントントン
希望に満ちた足音に、そーと聞き耳立ててる私です。




2014年2月10日月曜日

遊具


 日曜日、孫たちと近くのデパートに遊びに行きました。
遊具メーカーがオーナーの有料の遊具施設です。

敷き詰められたマットは暖かくて小川や野原、によっこりキノコにウサギさん
まるでおとぎ話の絵本のようです。
でも、もうすぐ5歳になるお兄ちゃん、しばらくすると飽きてきました。

歓声が上がったのはその後でした。
初対面のお友達とお互いのプールに、ボールの入れあいっこが始まったのです。
二歳の弟も効果音付の直球で挑みますが、プールまで届きません。

「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ。ピザはいりませんか。」
「おばあちゃんがお客様ね。」
小さなお家は、小窓や滑り台、時計台もセットになっています。
想像力は広がりあっという間に二時間が過ぎました。

押し付けた解決策はなかなか前に進みません。
問題と捉えるのか、問題とは思えないのか
意識の違いは次のステップを踏みません。

与えられた遊具、すぐに飽きるだろうと思ったのはおばあちゃんです。
遊び方を創造したのは幼い子供たち。

押し付けは解決策ではないのかもしれない。
待ってみよう、明日という日を。



2014年2月3日月曜日

おしくら饅頭


 「どうしたらいいだろう、」
責任者の皆に声をかけてみました。

出てきた答えは一人ひとり違っていました。
でも、前に向かって進みたい、思いは皆同じです。

日曜日朝のテレビ、チャンネルを切り替えるのにたまたま見かけた番組
社長さんを始め社員全員でおしくら饅頭をしていました。
力が強すぎて弾き飛ばされる人、倒れる人
はじめは上手くいきません。
でも何回かしているうちにだんだんバランスが取れてきました。

ナレーションは語ります。
「相手の力を、相手の心を知ろうとする心が動いたのです。
やがてそれぞれの心が一点に向かっていった時、
バランスの取れた押し競饅頭が出来ていきました。」

おらがおらが、自分が自分が
突っ張った心は強すぎて回りを弾き飛ばしてしまいます。
でも、受け入れる心、相手の思いを知ろうとする心は
バランスの取れた強いチームを作るのです。

おしくら饅頭
押し合いながら、もまれながら、
前に前にと進むのです。