2014年10月6日月曜日
思い
赤信号で 何気なく見つめた公園に、若い男の人が一生懸命お話しています。
向き合って、一生懸命頷いているのは、赤ちゃんを抱っこした若いお母さん。
二人は御夫婦のようです。
そこには口から出る言葉はありません。
お父さんは、両手を上下に動かしたり、指を折り曲げたり、大口を開けたり、
パクパクさせたり体中で思いを伝えておられます。
若いお母さんは、じっと見つめながらお話を聞いておられます。
体中でお話を受け止めておられる、そんな風に見えました。
「僕が先に持っていたよ。」
「だってこれは僕の車だもん。父さんにお誕生日に買ってもらったもん。」
泣きながら車の取り合いっこがはじまりました。
いつもなら、お兄ちゃんに譲る弟、でも今日はついに弟の思いが爆発しました。
投げたおもちゃが、お兄ちゃんに当ってしまったのです。
「お兄ちゃんのおもちゃ欲しかったんだね。」 「うん」
「でも、投げたりしてはいけないよ、お兄ちゃんに謝ろう」 「いやっ」
抱っこされて泣きじゃくる弟、それでも一歩も譲りません。
「広ちゃんが投げた。おばあちゃんの意地悪。」
こちらも一歩も譲りません。
体中で思いをぶつけてきます。
弟を抱っこして、お兄ちゃんの背中を撫ぜながら、三人しばらく沈黙が続きました。
「バスですよ、乗ってください。」 車を両手で押しながら小さな声のお兄ちゃん、
「ちびちゃんが、乗るよ。」 涙目の大きな声の弟です。
あの時の、あの言葉はあれで良かったのかしら、
あの時の、あの時の、過去への思いは反省ばかりです。
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