会社がお休みの土曜日、
髪を染めながら、学生時代の思い出を語ってくれるのは美容師になった姪っ子です。
パーマを掛ける為に、両手で小さなカラーを巻いていきます。
髪が均等に巻きつき緩まないように、両手でしっかり巻いていきます。
巻き終えたカラー、ゴムを取るために片手を離します。
離した右手を補おうと左手に力が入ります。
すると、
「今までしっかり巻かれていた髪がズルッと緩んでしまうんよ」。
片方の手を離しても、そのまま力が均等に保てれば、髪は緩まないのだそうです。
早朝、誰もいない教室の隅で必死で特訓した技術は、母となっても健在です。
バブルの最盛期、増産しても増産しても注文に間に合いません。
工場を増やし、人員を増やし、鳴りっぱなしの電話のベルに必死で対応してきました。
戦略を持たない在庫は、やがて工場閉鎖を余儀なくされました。
余剰人員を生みました。
常に安定を願いながら、
追いかけっこの製販は、大きな山、小さな谷を繰り返しながら四十年の歴史を刻みます。
失敗、失敗の連続の中、いっぱい苦しんでいっぱい悩んで
それでも見つめた明日の事を、そっと話したいと思うのです。
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