2009年8月31日月曜日

選挙


 「政治家も役所も人数が多すぎるんよ。
衆議院も参議院も、地方議員も・・・。
少なかったら皆が必死で仕事をするよ。
地方議員も、自分の出た地区だけの事を考えていたのでは選ばれない。
本当に必要な所から、予算を取ろうとするよ。
真剣勝負だよ。皆真剣勝負だよ」

いつものように、新聞を読みながら政治の話、経済の話、最後は我が家の事に
主人のぼやきは夜遅くまで続きます。

昨日は時代を大きく変えて欲しい衆議院の総選挙
新しい党も加わって
最終的に政権交代の結果になりました。


経済の問題、
子育ての問題、
老人福祉、
環境問題、
あらゆる問題が山積みです。
でも、私達はどっちを向いていこうとしているのか。
10年後、20年後、100年後にはどのようにしたいのか。
だから今、何をしようとしているのか。
そんな指導者を皆が待っているのです。

苦しい、厳しい、誰もがわかっています。
でも、今このままではいけない、少しでも矛先を替え新しい時代を創って行きたい。

小さな企業も、必死で明日の行くべき道を決断しようとしているのです。



2009年8月24日月曜日

お花屋さん


 広島に着きました。

「近くにお花屋さんはありませんか」

バスを降り探したお花屋さんは、こげ茶のエプロンがよく似合う
コーヒーショップの横のエスカレーターを降りた所にありました。

透明なドアを開けると、緑の木々が私たちを迎えてくれました。
人が行き交うビルの中、小さなお花畑がその一角をおおっています。

白い菊の花の中をぬけると、色とりどりのバラ達がお花の階段を作っています。
赤い花はフリージア、マーガレットのやさしいピンク、
そして娘の大好きな黄色い花のガーベラは頭をそろえて並んでいます。

「かわいい黄色の花束を・・」
白いブラウスに、黒いエプロン、笑顔のおねえさんにお願いしました。

「有難うございました」

メッセージカードをつけて受け取った花束。
透明なシートの間から顔をのぞかせた花達は競って天を仰ぎます。

出口を見失った私達に階段を上って見送ってくださった店員さん。

黄色い花束の中で娘の笑顔が
いただいたやさしさと一緒に輝いていました。


2009年8月17日月曜日

お好み焼き屋さん


 お好み焼きを食べに行きました。

夕方六時、駐車場はもういっぱいです。
戸口には何組かの人がいすに座って順番を待っています。

「今日も多いね。」

どんなにお客さんが混んでいても必ず座るのはカウンター
熱々のお好み焼きをヘラできって食べる、ちょっとツーぽく主人は気取ります。

「肉玉、そば入り、生ビールね」「それから、ホルモン」

まだ十代かなと思える幼顔のお兄ちゃん、お玉にすくった生地を小さく落とし背中で
うすーく平らに伸ばします。

おっ上手になったね。失敗がなくなったじゃん、小さな拍手を送ります。

鉢巻をした大将はキャベツを山に載せお肉をその上に広げます。

「はい、〇〇ちゃんビール生用意して、ホルモン一緒にね」
手と口が同時に動きます。決して怒り声ではありません。

大勢のスタップが大将の声に流れていきます。
その流れは急ぎ足でもなく、声高でもなく、ゆっくり いえいえゆっくりではありません
欲しいときに欲しいものが流れになって動いていくのです。

じっくり丁寧に焼き上げたそばの上に逆さになったキャベツが乗ります。
割られた卵は押しつぶされ、そばとキャベツを乗せられてさらに押しつぶされます。
ソースをかぶり、のりをまかれ、次々に送り出されるお好み焼き。

鉄板の上にはリズムに合わせて踊る、踊り子がいるようです。
大将の声がやさしい音色に聞こえます。

「ご馳走様」「ヘイ、有難う」

のれんをくぐりながら、また来ようと思うのです。



 

2009年8月10日月曜日

美容院


 「そろそろ限界ね」そんな言葉に後押しされて三ヶ月ぶりに美容院に行きました。

よく磨かれたショウウインドウ、奇抜な印象のオブジェ、黒いソフア
セレブな印象のそのお店は、過去何回か前を素通りさせたお店です。

やっと透明なドアを開けたのが三ヶ月前
「今回は髪が短いので後ろ髪が中心で分かれてしまいます。
次にこられたときには少し長くなっているので後ろの分け目が出ないようにカットしますね」
おまけにハンドマッサージまでしてくださり皇女のような気分で見送っていただきました。

「今日はどうなさいますか?」
「カットとパーマをお願いします」

足を投げ出してソフアに座ると「少し後ろに倒れますよ」
優しい声と一緒に、指先はこめかみから額へと強弱をつけながら頭全体を
マッサージしていきます。

「今日は髪の長さはどうされますか」
「夏だから、思い切ってきりましょうね」
「パーマをかけた後でかっとしますからね」

「そうか、そうか、パーマをかけた後でカットするのか」細かい説明にうなずきながら
だんだん髪は変身していきます。

「今回はパーマ液が流れなかったでしょう、ひそかに策を練っていたんですよ」
「エッツ」と私。

「前回のとき、パーマ液が流れていつも困っているってお話されたでしょう」

いつも、美容院で悩まされていたパーマ液、「覚えていてくださったんだ」

「お名前も、どんな薬を使ったか、調合の割合、髪の印象一回でも来てくださった
お客様は必ず覚えています。」

「どうしたら、そんなに覚えておけるのですか」

「美容師という職業が大好きなのです。」

帰り道、見上げた夏の太陽はまばゆいばかりに輝いていました。

2009年8月3日月曜日

隠れ蓑


私たち繊維業界は、その流通経路が複雑です。
アパレルメーカーが生地メーカー、商社から素材を仕入れます。
その前には生地問屋さんもありました。

作られた商品は、小売りへ直接売るだけではなく商社、問屋さんを経由しさらに複数の問屋さんが存在したりするのです。
縫製も複雑です。
アパレルメーカーが別の工場で縫ってもらったり、そのまた先に工場があったり
工場を経由するだけでコストは上乗せされていきました。

複雑な流通は過剰在庫も生みました。

でも、一方で多くの人が携わる事でそこにお金が落ちていきました。
豊かになった人々はまた新たな消費を生みました。

複雑な流通を整理し、一括仕入れをする事でイオンは自社ブランド商品の価格を
メーカー品より五割ダウンすると日経新聞に載っていました。
消費者の節約志向に対応する為だそうです。

吐き出された人達の深刻な社会問題、

私たちが求めた豊かさはこんな豊かさだったのでしょうか。

安売りの先に見えるのはどんな社会なのでしょうか。

お客様に満足していただくために、
お客様に喜んでいただくために、

私たちは、お客様という隠れ蓑を脱ぐときが来たのでしょうか。