「もしもしおばあちゃん、
お孫さんにお弁当を残させてはいけませんよ。」
広がる青空の下、孫たちとはしゃぎながらお弁当を食べていました。
お弁当箱に昨夜の残り物をいっぱい詰め込んでいたのです。
「今の時代は何でもほしいものが、手に入る。
お腹いっぱい食べてもお菓子よ、ジュースよと、与えてしまう。
わしらの子供の頃は、食べ残すと親からひどく叱られた。」
孫達の頭を交互になぜながら草色の作業服を着た老人は
終始笑顔で話しかけられます。
久しぶりにお見舞いに行った会長から頂いた本に、
こんな言葉が載っていました。
食と文化を研究テーマに掲げられてきた東京農業大学名誉教授
小泉武夫といわれる方のお話でした。
「日本の食料自給率は50年前は73パーセントだったのに、今は39パーセント。
そして、食料自給率が低く他国からの輸入によって成り立っているにも拘らず
日本の食料廃棄量は世界一といわれている。
いつの間にか日本人は食に対する畏敬の念を失っている」
草色の作業服を着た人たちは集まって、お城の庭の草取りをしながら
愉快そうに談笑されています。
「有難うございました」
頭を下げての帰り道、孫達と手を繋ぐと暖かい柔らかいぬくもりが伝わってきます。
命の営みが伝わってくるのです。
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