2009年3月2日月曜日

なつかしい人達


なつかしい人達の輪が、畑を囲んで出来ました。

「そろそろ、白菜採らないと小鳥に食べられてしまうよ」
「縫製も大変じゃのう、家ももうプレスはやめよう思うとる」

自転車で通りがかったお父さんは、顔なじみの仕上やさん。

「まあ、畑をしょうるん、私もちっちゃい畑だけどいろいろ植えとるんよ」
「ねぎ、植える、こうして土に埋めておくだけで新しい芽が出てくるから」

笑顔は昔のまま、少し腰が曲がりかかったその人は、ミシンを踏んでくださっていた方でした。

分業化された縫製の町は、一人ひとりがその道のプロでした。
一軒、一軒が小さな会社です。

生地を裁断する家
裁断した生地を運ぶ人、
運ばれてきた生地を、縫い上げてお洋服に仕立てるお家
穴をあけ、釦をつけ少しづつ姿が見えてくると
最後は、仕上げアイロンのプレス加工と呼ばれるお家です。

町は人と人、家と家
つながり、結びつき、分かち合い
分業というシステムは縫製の町を支えていました。

「あったかくなってきたのう」
「そうよ、もう春じゃけえ」

支えあい、結びつき分かち合ってきた人達は、
やがて育つ春の息吹を待っているのです。





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