2008年9月29日月曜日

おいしかドロップ


今朝の瑠迹汲ヘ、ないていました。
少女の「おいしかドロップ」の声に・・。

日経新聞に毎日連載されていた「望郷の道」が終わりました。

リミットも、
来る日もくる日も一枚も売れない時がありました。
売れば売るほど損をした時もありました。
明日は銀行に行こうと決断した日、それでも買ってくださるお客様があるなら、
つぶれるその日まで喜んで売らしていただこうと思いました。
次の日、運命は変わりました

そして、ユーザーの方に欲しいと言われる物を作れば黙っていても買っていただけると
思いました。
お客様の目線で物つくりに必死になりました。


正太は駆け出しました。
「俺は倉庫からドロップを運んでくるけん。」

そこに商品を運んでくださる方がいました。

心を伝えてくださる方がいました。

商機を捉え、明日を読み、お客様に伝えてくださる方がいました。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
あわてて駆け出した朝、もう一枚重ね着したくなったのは秋が深まっている証拠、いただいた栗の実は、今日のお昼のお弁当になりました。もうすぐみんな、10月です。







2008年9月22日月曜日

小さな脇役、釦君


 小さな僕は、いつも脇役です。

僕たちは、必要な時に、必要な数だけ、ネームさんやラベルさん達と一緒に

納品されるのです。

工場の中は順番待ちしている先輩たちが順序よく並んでいます。

いつ、順番が回ってきてもいいように、僕は身支度を整えました。

丸い目玉はピカピカに、口は針が折れないように清潔に歯磨きして待ちました。

でも、順番が来ないのです。


「変だね、おかしいね。」 ラベルさんもネームさんも、騒いでいます。

あんなに磨いた丸い目玉も、歯磨きした口も ほこりがたまってきているよ。」

「ねーねー。」 ネームさんが情報を聞いて皆に伝えます。

「なんか、黒生地さんに問題がおきたんだって!」

「あの黒生地さんは繊細だものねー。 ちょっとの事でよく泣いているよ。」

「だから、計画が変更になったんだってー。」

「えっ、それっていつの事。」

「もう、一ヶ月も前のことなの・・・。」




小さくったって、脇役だって、誇りがあるよ。

ほら、王様がいつも言っているじゃないか。


「物に命を入れるのは、物を大切にする心だよって。」


一週間後、行き先変更になった釦君。

おめかしして明日の出番を待っているのです。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
雨が降って風が吹いて、嵐がやってきました。横にお辞儀しているススキたち、ほこりを落とした木々たちはすがすがしい顔で得意げです。
今年もやってきた台風は、ゆっくり離れていきました。もうすぐ10月、新しい職場で再出発を迎える人達にも、秋はやがて過ぎていきます。



2008年9月15日月曜日

同じ道があるなら


 「同じ道があるなら苦しい方を選ぶ」
これは、社長(現会長)の言葉です。
道に迷った時、必ず社長はこの言葉を掲げました。

25年前のある日の事、社長が急に副社長に告げました。
「地元の問屋卸を、すべてやめる。」
衝撃的な言葉でした。

当時売上の半分以上を、地元の問屋さんに買っていただいていました。
10年、20年先を見つめた時、よりお客様に近い所で商売をしようと誰もが思うでしょう。
特に繊維業界は、その流通経路が複雑です。

女物は小さな分野です。
地元の皆さんに、喜んで売っていただいていました。
問屋販売をやめるという事は、売上も半分以下になるかも知れないという事です。
10年先、20年先の事は誰にもわかりません。
このまま問屋さんに、買っていただいていたほうが、ずーと楽なはずです。

でも、あえて、社長は苦しい道を選びました。
そして、一軒、一軒お断りして歩きました。
その任にあたったのは副社長です。

副社長が信じたのは、いつも自分に厳しい社長の姿勢です。
社長が信じたのは、苦しみの後にやがてやってくる明日でした。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
大きなまあるいお月様が、出ています。雲がゆっくり、流れていきます。どこかで虫の声がきこえます。毎年やってくる、今夜は十五夜です。(9月14日)



2008年9月8日月曜日

イメージ戦略


 大きな段ボール箱を小さな台車に載せて坂道を上っていく人がいます。
まだ、季節は春だというのにその額には汗が光っています。
登りきった坂道を、今度は反対方向に下っていきます。
たどり着いたそこは、大阪のとある郵便局でした。
初老の紳士は15年前の社長(現会長)です。
箱の中身は、はるかに千通は超える封書。
欲しかったのは大阪の郵便局の受付印でした。

現在はネット上でも見れるようになったネットワーク(リミット通信)。
販売店様にお会いする事がないから、考え方をお伝えする手段がないから
会長はリミットの方針、考えを綴った手紙を書きました。
やがてそれは、大阪経営企画室から発信されていきました。

月に一回、大阪の事務所で開かれた経営企画会議。
本社から荷物で届いたネットワークのダンボール箱を受け取る日と、会議の日以外は誰も居ない大阪の事務所です。
日本を動かしている西日本の中心からリミットの考えを発信、
そのイメージにこだわった会長です。
イメージにこだわるから、イメージを壊さない努力が始まりました。
本物を見つめる努力が生まれました。

時代は移り、全世界の何処にいても瞬時に情報が飛び交う時代になりました。
そしてますますイメージが大切な時代になりました。
本物だけが生き残れる時代になりました。


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
聞こえるのは秋の虫の鳴き声です。田んぼの稲も少し黄色に色づき始めました。知らない間に秋はやってくるのです。誰に伝えることもなく。









2008年9月1日月曜日

にぎやかな我が家


いつもなら静かなわが家も、今日は夕方からとてもにぎやかです。

ちょうど始まった24時間テレビを見ながらお喋りしている人、主人と北京オリンピックについて討論している人、二人でほっぺを叩き合っている人、お料理をお皿に盛りながらお喋りしている人、皆笑顔がいっぱいです。

でも、主人の問いに答えている人は言葉が喋れません。
自分の思いをノートに書いて伝えます。

ほっぺを叩き合っているように見えたのは、手と指が忙しく動いているので、叩き合っているように見えたのです。
彼女は、耳が聞こえません。喋る事もできません。
表情いっぱいの笑顔で、難聴の彼とじゃれあう二人は手話で話をしているのです。

大勢のお友達を連れて帰ってきたのは、我が家で一番明るい長女です。
長女は、足が不自由です。

丁度その時24時間テレビでは、健康で明るかった若いお父さんが身障者となり、やがて自分の病気と闘いながら家族と強く生きていくというお話をしていました。

「普通の健康な人がだったらこのテレビを見て、きっとかわいそうにって思うよね。でも、僕らは当たり前だなって思うよね」
黒縁メガネの男の子は優しい笑顔で屈託なく答えます。

「私は、最後のマラソンはいつも泣いてしまうから見ないようにしているの。」
車椅子の女の子の澄んだひとみが、潤んでいます。

そして、左手に右手を十字にそえて笑顔で首を縦に振ります。 

 「有難う。」

いいえ、いいえ、お礼を言わないといけないのは私の方です。
すべて揃っているのに、いつも不満いっぱいの私の方です。

「ありがとう」 


●・・・ 今月の室長の言葉 ・・・●
空はいつの間にか秋色に変わります。山もいつの間にか秋色に変わります。毎年変わりなくやってくる景色です。