霧の中、宿坊の朝は凛とした空気が張り詰めています。
土で造られたお堂の中は、体の芯まで冷え込んできます。
会長の名代で訪れた 高野山、別格本山「總持院」
早朝、唱和されるお経はお腹から頭へと伝わってきます。
手を合わせ、目をつむると多くの人が山を登っていました。
ただ黙々と登っておられます。
辛さでもなく、苦しさでもなく、ただ黙々と
みんな同じように、ただ黙々と登られていました。
先達は、黒い袈裟を纏った僧侶、弘法大師様でしょうか。
ただ黙々とみんな同じように、下を向き登っておられるのです。
子供の事、孫のこと、若い修行僧の事、
これから先どのように育てていけばよいだろう、
どのように育ってくれるだろう。
思うのは自分を基準にしたまだ経験したことのない先のこと、
でも自分に、自分と同じように、思いをかけてくださったご先祖様を思う日がどれだけあるでしょう。
どれだけ多くのご先祖様が、自分に思いをかけてくださったでしょう。
辛い修行で逃げ出した時、兄弟子の厳しい声は優しさだったと今わかるのです。
ご住職は自分の思いを、説法に代えてお話してくださいます。
昨夜の小僧さん、ふすまを閉める音に、辛さが伝わってきます。
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