2013年9月30日月曜日
ケーキ屋さん
保育所に迎えに行っての帰り道
「おばあちゃん、大きくなったら何になるの」
突然の孫の質問です。
「・・うーん・・ケーキ屋さん、たっちゃんは」
「とんとん、大工さん」
二人の手を引いて我が家への坂道を登っていくと
左手にはオレンジ色の夕焼け空が広がっています。
夕焼けに照らされた大きな雲はビルに見えたのでしょうか
「雲さんまで届く大きな大きなお家よ
父さんも、母さんも、ひろ君も、おじいちゃんも、おばあちゃんも
みんなみんな、いるよ。」
「すごいね、ビルみたいだね」
孫の夢を壊したくなくて
思わず出たのはケーキ屋さん
でもねたっちゃん、本当はね
おばあちゃんは、母さんのようにケーキは上手に作れないんだよ。
ずーとずーと、洋服だけしか見えなかった私です。
2013年9月24日火曜日
かけっこ
草むらではバッタが走り高跳びをしているし
こおろぎ達はあちらこちらで独奏会の練習中です。
もうアタリは秋の気配なのに。
なのに、今日も昼間は30度ちかい暑さです。
「今日は野菜植え付けの準備をするぞ」
夏の終わりに降り続いた雨は、雑草たちの成長剤になったのでしょう。
腰まで伸びた雑草たちがやっと奇麗になったと思ったら、次の仕事が待っています。
たてが、20mもある大きな畑です。
当たりが真っ黒くなるぐらい堆肥を蒔きなさい、その次はぬか。
ここまでに車の中の堆肥を全部使いきるように。
主人が足でラインを引いてくれました。
とてつもなく広く見えた畑に、線が一本できました。
堆肥の袋の数だけ分割された畑は
やがて一面真っ黒になりました。
山ずみされている明日の仕事
机の上に書き出してみました。
一つ一つ小さく区切って優先順位を付けました。
まるで仕事が、かけっこしているみたいです。
2013年9月17日火曜日
閻魔帳
いつも約束の時間ぎりぎりになるから
旅行のお話も聞きたいし
それに午後の予定もあるし
そんな思いで約束の時間より
15分も早くに玄関のドアを開けました。
「おはようございます、少し早いんですが、」
「・・・・・・」
「おはようございます。すみません早くに。」
秘蔵のお茶をいただきながら
大切なのはリズムですよ
自分の都合で相手のリズムを壊しては駄目ですよ。
そんなお話で始まった勉強会はいつもより時間超過です。
結局午後の予定もすっぽかしてしまいました。
すべては自分の都合で始まった今日のスタート
眠りにつくその時まで
歯車は空回りしてしまいます。
「これはね、閻魔帳に記録されるんですよ」
先生の顔はいつもにも増してにこやかです。
2013年9月9日月曜日
ピーマン
「ピーマンよ」
片言でおしゃべりする孫と、庭のプランターに植えたピーマンを摘みました。
両手でハサミを使う孫は切る位置が定まりません。
あっという間に「パチン」、葉っぱも切ってしまいました。
満足そうに、くるくると大きな瞳を輝かせています。
何気なくみつめたピーマンの葉、
そう言えば母が作るピーマンの炒め物には葉っぱも一緒に入っていました。
その日の朝の新聞
「この世は生きるに値する」
引退発表された宮崎駿さんの記事が、こんな見出しと一緒に乗っていました。
「子供達に夢と希望を」
監督のアニメにはそんな強いメッセージが込められているのだそうです。
何も言わなくても、何を語らなくても
命の恵みを大切に、と教えてくれた母。
「この世は生きるに値する」
「この世は生きるに値する」
何度も何度も自分に言い聞かせました。
まだできる事がある、沢山の失敗を糧に
今、自分にできる事を精いっぱい頑張りたい
水不足のせいか、深いしわをくねらせたピーマンが
孫の手の中で輝いていました。
2013年9月2日月曜日
仕事ハッケン伝
”引越し業界に挑む”そんなキャッチで始まった番組
大きな冷蔵庫を一生懸命運ぶ若い俳優さん
名前は大野拓郎だそうです。
つまずきそうになりながら何度も休んで運んでいた50キロの冷蔵庫
次の日、彼は10段の階段を一回も休まず運ぶ事が出来たのです。
重い物を運べないのは力がないからではない
心が弱いから
「荷物は心で運ぶ物」
悔し涙を流している彼に
「流した涙は汗のしずく」
これが限界と決めているのは
自分への甘え、と熱血教官はさとします。
「やっと夜が安心して眠れるようになりました」
会長からそんな言葉を聞いたのはほんのこの間だった気がします。
どんなに会社が安定しても
いつも、いつも明日への苦しみはつずいていたのです。
天を決めてしまったら甘えがついてきます。
心にかく汗は外からは見えません。
これが天
決めてしまった所から、レンガは崩れていくのでしょうか。
登録:
投稿 (Atom)