2009年10月26日月曜日

人参


 芽を出してまもない人参の葉っぱを抜きました。
ほんのり赤く染まった根っこは人参の香りと一緒にまぎれもなく人参です。

狭まりあったかぶらも、まぶいてやりました。
根っこは小さくふくらんで何処から見てもかぶらです。

自然って不思議です。
人参は人参に、かぶらはかぶらに育ちます。
種をまく前から決まっています。

そして、人参は人参として、かぶらはかぶらとして命をつなげていくのです。

人もまた人として生まれています。
人が人として生きるとは何なのでしょう。

それは自然界の中で人間だけが許された「立つ」事だとある本に載っていました。
人間は立つために生まれてきた。
そこに人としての使命があると書かれていました。

立つとは 「上に向かって立ち上がっていく」 ということ
自然体で立つという事。
そりあがった時、人は傲慢になります。

自分以外の存在に気づき、自分が生かされ守られていることに気づく事。

そして、何よりも無力である自分を知ることにあると・・・。












2009年10月19日月曜日

見るべき所


ユニフオーム業界、昨年秋から売上が急激に落ち込んできました。
当社のネットにもそんな業界の様子が事細かく書いてあります。

自動車、電子、など製造業の落ち込み、はてには八ッ場ダムの建設中止問題など
ユニフオームが伸びていく要因は何一つありません。

売上が落ちていく中、在庫を抱えた企業は人員削減、工場閉鎖など
売上に似合った体質に工場再編していきます。

リミットも中国の工場から引き上げました。

生産は国内のみで小回り生産、

仕入れが減少、在庫が圧縮され資金繰りは楽になりました。

でもやがて在庫が減少、仕入れがはじまり工場が稼動しだしたとき売上は
どうなっているのでしょう。


21世紀は心の時代と言われています。

40年、働く女性を見つめ続けてまいりました。
どんなに時代が変わっても人々が求めたもの、それはやはり心の豊かさだったと思うのです。
そして今、人々が求めている物も同じ豊かさではないでしょうか。

経済が登りに向いている時、下降に向いている時の違いはあるかもしれません。
でも、どんな時代も人々の思いはひとつのように思うのです。

何か特別な物が存在する訳ではありません。
当たり前の事を、こつこつ積み上げていく事こそがどんな時代も大切なのではないでしょうか。

もし特別に思うなら、今まで見るべき所が見えていなかったのかもしれません。










2009年10月13日火曜日

大根


爽やかな秋の風に赤とんぼが戯れています。
鐘楼バッタは大きく折り曲げた後ろ足で遠くの草原に跳んでいきました。

青い空をバックに畑では冬の野菜たちが一斉に芽を出しています。
大根、人参ほうれん草、レタスにキャベツ白菜と畑では緑のラインが
追いかけっこしています。

今日は大根の葉っぱの間引き作業です。

「少し間が開くように間引きしておくれ、また二週間ぐらいしたらもう一回間引きするから」
農園主の主人は、忙しそうに長ネギの苗を植えながら指図します。

「もう一回間引きするのなら、はじめからもっと間隔をあけておけば一回で澄むんじゃない」

「いいや本にそうしなさいと書いてある。」

「・・・。」

四葉の葉っぱを抜きながら主人の言葉を思い出しました。

「小松菜はゆがいて胡麻和えにすると美味しいんだって・・
もう少し大きくなったら油揚げと一緒に油いためにしてもいいそうだよ。」

大根の成長に似合った間引きを繰り返す事で、合理的ではないけれど物を無駄にしない。

一見面倒に思えるその作業を
昔から当たり前のように行なわれてきたその仕事を
私達はエコとよぶのでしょうか。






2009年10月5日月曜日

福山城


 静かな朝です。

久しぶりに福山城に行きました。
そびえる天守閣、周りには松ノ木、桜の木たくさんの木々たちが形をそろえて立っています。

大地に根を張り空を仰ぎ天に向かって高く高く伸びています。
一本一本くるうことなく伸びているのです。

天守閣につながるこの道を、今日までどんな人が通ったでしょう。
時代が通り過ぎていく中で、そびえる木々たちは何を見何を感じたでしょう。

静かに目を閉じ木と一体になってみました。
しっかりと大地に根を張り空を仰ぎ、さらに高く伸びようとする天に届こうとする
宇宙につながろうとする、でも静かに静かに立っている木々たちです。

人は何故苦しむのでしょう。
人は何故悩むのでしょう。

過去の自分を変えることは出来ません。
過去の過ちを消す事は出来ません。

うれしかった事より楽しかった事よりなお深く心に残るのは苦しみや悲しみです。

木はそれでも静かに立っています。
木はそれでも天に向かって伸びているのです。
明日に向かって伸びているのです。
ただただ、今日よりも明日へと伸びているのです。