室長と絣とB×Cと
2009年3月30日月曜日
流し雛
穏やかな、やさしい風が海をわたってやってきました。
色とりどりの折り紙に、白い紙をしのばせてかわいい目玉を付けました。
優しいお顔のお雛様、船頭さんの持つカイは今にも前に進みそう。
ここは静かな瀬戸内の小さな小さな小島です。
小さな小船に乗せられた12人のお雛様。
大きな波がやってきて、小船と一緒に返ります。
船頭さんの舵取りも大きな波で流れそう。
ひきかえしていくのは何処でしょう。
はるか彼方の沖でしょうか。
それとも海の底でしょうか。
ここは小さな小島です。
誰も知らない、遠い記憶のその中に
帰っていく道をさがします。
明日の夢を託します。
2009年3月23日月曜日
数字
数字は不思議です。
1+1は、必ず2になります。
でも、2 が持っている歴史は計り知れません。
10÷5 かもしれません。
3-1 かもしれません。
いいえ、いいえもっともっと複雑です。
2を、創造する世界は無限です。
そして、
数字には深い深い歴史があります。
苦しかった時代、
喜びの時代、
悲しかった時代
それらを背負った数字は
明日の方向を示してくれます。
明日の生き方を教えてくれます。
数字は時代が示した
明日への入り口 なのです。
2009年3月16日月曜日
ありがとう
ちっちゃな手をきゅっと丸め、ちっちゃな口をクチュクチュ。
大きな瞳は、はるか彼方をみつめ
ほっぺはプルンとやわらかです。
二日間、陣痛と戦ったおかあさん、
やさしく見守っていたおとうさん、
新しい命、おきな産声は、感動とともに、お母さんのお腹から出てきました。
顔を真っ赤にし、ちっちゃな手をにぎりしめ
地の果てまでも届きそうな泣き声は存在の証です。
額にちいちゃなしわ、上目使いで見る先は
とおく広がる宇宙をみつめています。
どこまでも、どこまでも穏やかなねがお。
一つ一つのしぐさが、やさしく愛おしく
かつて父が、
かつて母が、願ったように、
かつて父が
かつて母が祈ったように
ただただ、健やかに、
ただただ、幸せに・・・・・・。
2009年3月9日月曜日
在庫
「コンピューター上では、在庫が1枚あります。もう一度倉庫を探してみてください」
十五年前のある日、受注部門から配送センターへの電話です。
「ありました。」
コンピューターは嘘を言いません。
1+1は、必ず2になる世界。
入力間違いをしない限り、数字が違うはずがない
「人は間違いをするが、機械は絶対に間違わない」 それが会長の持論でした。
まず、私たちはコンピューターが出した答えを信じたのです。
そこから、徹底した確認作業が始まります。
入力ミスはないか、間違い出荷はないか、すべての工程にチェックが入ります。
徹底した在庫管理は、徹底した納期管理の源です。
お客様に、安心して売っていただけるシステムの追求。
「お客様に売るシステムより、お客様に売れるシステムをつくる」
どこまでも、「お客様に喜んでいただきたい」
それは、信念ともいえる会長の強い思いだったのです。
2009年3月2日月曜日
なつかしい人達
なつかしい人達の輪が、畑を囲んで出来ました。
「そろそろ、白菜採らないと小鳥に食べられてしまうよ」
「縫製も大変じゃのう、家ももうプレスはやめよう思うとる」
自転車で通りがかったお父さんは、顔なじみの仕上やさん。
「まあ、畑をしょうるん、私もちっちゃい畑だけどいろいろ植えとるんよ」
「ねぎ、植える、こうして土に埋めておくだけで新しい芽が出てくるから」
笑顔は昔のまま、少し腰が曲がりかかったその人は、ミシンを踏んでくださっていた方でした。
分業化された縫製の町は、一人ひとりがその道のプロでした。
一軒、一軒が小さな会社です。
生地を裁断する家
裁断した生地を運ぶ人、
運ばれてきた生地を、縫い上げてお洋服に仕立てるお家
穴をあけ、釦をつけ少しづつ姿が見えてくると
最後は、仕上げアイロンのプレス加工と呼ばれるお家です。
町は人と人、家と家
つながり、結びつき、分かち合い
分業というシステムは縫製の町を支えていました。
「あったかくなってきたのう」
「そうよ、もう春じゃけえ」
支えあい、結びつき分かち合ってきた人達は、
やがて育つ春の息吹を待っているのです。
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