2010年10月25日月曜日

すすき


 雪解けの水が路面を凍らせていました。
橋の上になると会長は車から降り、路面を確認します。

アスファルトの道より、橋の上は凍りやすいのです。

これからの季節、
雪に閉ざされた神様の大地、目を瞑っても運転できるよ。
副社長は自慢します。

長年通い続けた山陰道、長い歴史の道のりです。

今日はその道を一人、
迫りくる山々をみつめながら走ります。

みつめる大地に平付すススキは
風に委ねてなびきます。

神様が集まる出雲の大地、
優しいかぜになれますように・・。











2010年10月18日月曜日

米寿


 父が初めて話してくれた暗い、苦しい戦時中の体験談

皆が避難している防空壕から飛び出し、他の人を助けに行った
わずかな時間に焼け落ちてしまった防空壕

そんな体験を二度もした事を初めて語ってくれたのは
私が結婚してからずーと後の事でした。

救われた命がこの10月、88歳の誕生日を向えました。

多くの皆様にご縁をいただいて
今日まで生かさせていただきました。

感謝の思いで書き上げた
福徳の88枚の絵

妹たちには、大きな袋を持った優しい笑顔の大黒様

そして私は、白髪の二人が微笑んでいる
高砂の爺婆の絵をもらいました。



2010年10月12日火曜日

マラソン


 体を横にくねらせ必死で上ってくる長い坂

車椅子マラソンの折り返し地点は、
延々と続く上り坂の頂上です。

斜めに傾いた車輪を抱えた両腕

前のめりの体は
小さな視野を追いかけます。

折り返しのポール

地面を見つめていた頭が
空を仰ぎました。

いつものように晴れやかな笑顔

信じた道を必死で追いかける
娘のさわやかな笑顔です。

2010年10月4日月曜日


猛暑、締め切ってクーラーづけだった工場の窓を開けました。

知らない間に、はびこっていた弱い心

蔓延していた、「おらが、おらが」の自己中は
秋風とともに、雲に洗われてとんでいきます。

誰かのせいではありません。
何かのせいでもありません。

ただ、居心地のよい空間を皆で作っていたのです。

掃き清められた玄関で
「いらっしゃいませ」大きな声で言ってみました。

水打ちされた通路は
新しい風の通り道です。

怖いのは、どよんだ空気

風穴を開けるのは自分です。